最強の奴隷
神はヨセフが奴隷になっても、見捨てず、ヨセフに祝福を与え続けました。
エジプトの奴隷市場に売り出されたヨセフ。
そんなヨセフを買ったのは、「ポティファル」という人物でした。彼は、エジプトの王「ファラオ」の宮廷で働く高官でした。
ヨセフは奴隷に落ちこぼれても、ポティファルの家で一生懸命働きました。
すると、ポティファルも、だんだんとその有能さに気付いてきます。そこでポティファルは、奴隷にも関わらず、ヨセフに大きな仕事を任せるようになりました。家の掃除から、ポティファルが不在時の管理、財産の管理、ポティファル家全体の管理と。
こうして、次々大事な仕事が、ヨセフに任されるようになりました。
福の神
神はヨセフだけでなく、その主人であるポティファルも祝福をしました。
家族も何不自由なく暮らし、仕事もうまくいき、お金もどんどん増えていく。ヨセフが来てから、ポティファルはどんどん幸せになっていったのでした。
まさに、ヨセフは福の神でした。
モテすぎた
ただ、そんなヨセフにも、一つ問題がありました。
それは「いい男」すぎたことです。
ヨセフは生まれつき、顔立ちも整っており、体つきも立派でした。そのため、家の中にいる女奴隷の羨望の的になります。
そして、あろうことか、ポティファルの妻にも、言い寄られるようになってしまいます。ヨセフは、誘いがあるたびに、「曲がったことはしたくない」と、キッパリと断ります。
しかし、それでも奥様は、ヨセフへのアタックをやめません。あらゆる手を尽くし、ヨセフを誘惑し続けました。身の危険を感じたヨセフも、なるべく奥様を避けるのようにします。
そんなある日のことです。
奥様は最終手段「淫らな服を着て後ろから抱きつく作戦」を決行します。
家で働く奴隷を全員外に出し、ヨセフが帰ってくると、サッと抱きつき、猫撫で声で誘惑。
「決まった!」と思った奥様。
一方、ヨセフは、瞬間「これはまずい!」と思い、強引に逃げ出してしまいます。
激おこ奥様
最終兵器も通じなかった奥様は、ヨセフに強い憎しみを抱くようになります。
そしてなんと奥様は、主人が帰ってくると「ヨセフが私に乱暴しました」と、告げ口したのです。しかも証拠として、ヨセフが逃げたときに脱げた服を差し出しました。
ポティファルはそのことを信じ、ヨセフを牢獄送りにしました。
一方、理不尽な扱いをされたヨセフは、それでもめげませんでした。
ヨセフは、牢獄でも看守として有能さを発揮します。すると、看守長はヨセフに、次々と牢獄内のことを任せるようになりました。
さらに、囚人達もヨセフに絶大な信頼を寄せるようになり、牢獄には穏やかな空気が漂うようになったのでした。
最終的に、牢獄内は、囚人たちも特にトラブルを起こさず、看守達はあくびをしながら働くようになっていきました。
2人の新入り
そんな牢獄に、ある時、2人の新入りが来ました。
2人は囚人で、1人はファラオの宮廷の料理人、もう1人は献酌官(けんしゃくかん)と呼ばれるファラオの毒見役でした。
2人は、先日起きた、宮廷での「ファラオの毒殺未遂事件」の容疑者として囚われたわけです。
そして、その2人の世話を任されたのが、ヨセフでした。
夢の解釈はお任せ!
平穏無事な牢獄ライフを過ごしていた2人ですが。
ある日、2人は同じ夢を見ます。
その夢の内容と、2人が同じ夢を見たという事象が奇妙すぎて、2人は、この夢には何かあるのでは、とヨセフに相談します。
するとヨセフは、「夢の解釈は神がしてくださいます。とりあえず、夢の内容をお聞かせください。わたしが解釈してみましょう」と言います。
2人は夢の話をしました。
“献酌官がブドウの木から実を取り、それを絞り、杯にいれ、ファラオに差し出す。料理人は頭上に、食べ物の入った籠を乗せ、鳥がそれをついばんでいる。“
ヨセフの解釈は以下の通りです。
献酌官は「再び、元の仕事に戻る」という意味。
料理人は「ファラオがあなたの首を切り、鳥があなたの死体をついばんでいる」という意味。
おわり
3日後、料理人は事件の犯人として死刑、献酌官は職務復帰、と夢が現実になりました。
ただ夢の解釈をしたときに、ヨセフは献酌官に「私のことをファラオ様に話してください。私は何も悪いことはしたいのです、と」
しかし、献酌官はそのことを見事に忘れてしまいます。
そうして、2年の歳月が過ぎました。
(つづく)
ボーナストリビア:冬眠しない熊
急に、寒さを感じる時期となりました。皆さん、冬の準備はできていますでしょうか?
冬の準備といえば、動物には「冬眠」というものがあります。鳥や熊はそろそろ、冬眠の準備に取り掛かっていることでしょう。
ただ、「熊=冬眠」と考えてしまうのは、少し安直です。
実は、冬眠をしない熊もいるのです。
ズバリ、「動物園の熊さん」です。
当たり前じゃん、と思われたかもしれませんが、これは意外とすごいことです。
動物園の熊と、普通の熊の違いは、ズバリ「食べ物があるかないか」です。
なら、もし仮に、人間も同じことが起きたらどうでしょう。
人口が増加し、食べ物がなくなる。
そうなった時は、私たちも「冬眠」という手段をとるのかもしれません。
いや、私たちの場合は、「冬眠」ではなく、「コールドスリープ」でしょうか。
現在、さまざまな都市伝説で、「あの人、実はまだ生きてて、コールドスリープ中」という話が広がっています。
未来、「すいません。食料危なくなってきたので、次の冬、コールドスリープしてください」といった手紙が送られくるかもしれませんね。
(参考)