[ひと息読書]「人生の勝算」—— 最後まで生き残るビジネスは、『スナック』と『床屋』だ!

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本書の著者・前田裕二さんは、画期的な仮想ライブ空間の「SHOWROOM」を創り出した人物として有名です。

「SHOWROOM」とは、アーティスト、アイドル、モデルなどの配信が無料で視聴・応援でき、誰でも配信者になれるサービスです。

「SHOWROOM」を立ち上げるまでに、どんな人生を歩んできた人なのか。

どのようなに考え、どのように行動してきたのか。

前田さんの人生が書かれた一冊です。

あらゆる「ビジネスの勝算」、いや、「人生の勝算」が書かれた本です。

数あるビジネス書とは一線を画した、前田さんの魂のこもった一冊を本日は紹介させていただきます。

人生の勝算 (幻冬舎文庫)

なぜスナックは潰れないのか?

「町でどんなに店が潰れても、最後まで生き残るのは『スナック』『床屋』だ」と、前田さんは言います。

理由は5つあります。

1 余白の存在
ここではスナックを例に取ります。
スナックでは、ママは必ずしも、若くて綺麗でなくても構いません。
また、客よりも先に倒れてもいいし、頼りなくてもいい。
いや、むしろそっちの方がいいくらいです。

未完成な感じが、「余白」がある感じが、逆にお客からの共感を誘い、仲間を作るのです。

ママの「余白」によって、支えようという結束力が生まれ、コミュニティが強くなる。そして、お客はそこに高いロイヤリティを感じる。

ママの「余白」の部分が、スナックという空間を、作り出しているのです。

2常連客の存在
他のお店と異なる、スナックの特徴として、「一見さんが入りにくい」ということが挙げられる。

これはわざとそうしています。
閉じた空間にすることで、「俺たちだけの場所」といった具合に、常連さんの所属欲求をより掻き立てているのです。

そのため、一見さんがその空間に入るには、常連からの紹介が必要になるのです。

「信頼している人からのクレジットこそが新しい信頼を生む」

スナックは、昔からあるにも関わらず、時代の最先端を行っているビジネスなのかもしれませんね。

3仮想敵を作る
スナックで、ママを攻める常連客は、まずみんなの敵になります。
そして、ママを守ることで、さらに結束力が高まる。

今のアイドルグループに似ていますね。

4秘密共有
「3」であげたようなトラブルが生じた時、そのことは言わない、といった、共通認識やコンテクストが出来上がっています。

「私たちだけの『ひ・み・つ』」とママがウィンクをしながら、一人一人に言っているわけでもなく、彼らは自然と、そのように行動するのです。

5共通目的
先程の「3」とも関係してきますが、仮想敵やトラブルが生じたら、それを共に解決する。

一つの目的に向かうことで、絆が生まれるのです。

ママは、「アイドル」そのものなのです。

「ファンビジネスの根幹は『スナック』である」と前田さんは述べています。

「人は絆にお金を払う」
本書で一番伝えたいことです。

前田さんは小学生の頃、家庭の事情により、自分でお金を稼がなくてはならない状況にありました。

そこでやったのが、「路上ライブ」です。

この話が非常に面白いので、ぜひ詳しい内容は本書を読んでいただきたのですが、当時、前田少年が「路上ライブ」をしている中で気がついたことに、とても感銘を受けました。

「人は絆にお金を払う」

現在の「仮想ライブ」SHOWROOMの根幹はここからきていたのです。

路上ライブを始めたばかりの頃、街ゆくお客さんは誰も立ち止まって、彼の演奏を聞いてくれませんでした。

そこでさまざまなことを試行錯誤する中、前田少年はさまざまなことに気づいていきます。

1「街を歩くお客さんに、素通りできないツッコミどころをどれだけ作れるかが重要だ」

当時、前田少年は自分で作ったオリジナル曲を演奏していたそうです。
ですが、誰も足を止めてくれない。

そんなある日、前田少年は「赤いパラソル」を歌っていました。

すると40代のある女性が立ち止まり、
「『白いパラソル』って知ってる?」と聞いてきたのです。

2「リクエストを受ける」

先程の女性からの返答に前田少年はこう答えます。
「いいえ、知りません。ですが、来週までに必ず歌えるようにしてきますので、来週、また聴きにきてください」

40代の女性は笑顔で頷き、来週また来る約束をしました。

そして次の週、一週間練習した「白いパラソル」をその人の前で歌いました。すると、その女性はギターケースに一万円を払ってくれたのです。

3「ヒト対ヒト」の絆を作る

前田少年は上記の経験からたくさんのことを学びました。

(1)歌の巧さは関係ない
もし歌の巧さが重要であるなら、前田少年の歌なんて聞かないで、CDで本物の声を聞いた方が、ナン万円もの価値があるはず。

(2)技術がダメでも、心を通じる度合いならプロにも勝てる
ギターケースにお金をもらうには、「技術」ではなく、「心が揺れたから」「心が通じたから」といった感情的要因が大きい。

(3)オリジナル曲に挑戦
そして、お客さんとの信頼関係を築いて、初めて、自分の曲を真剣に聞いてくれるようになる。

前田少年は以上のような経験から
「モノ対ヒト」ではなく「ヒト対ヒト」が大切だとわかりました。

駅前に出るとつい「私の『演奏』を聴いて」という供給側の論理にたってしまい、人を「モノ」だと考えてしまう。

しかし、そうではありません。

まずは、他者への「想像力」「思いやり」が何よりも大切なのだと気づいたのです。

「ヒト対ヒト」の関係が、その『演奏』に更なる付加価値をつけるのです。

女性が払った一万円は、「曲そのものではなく、1週間という時間に思いを馳せる、その過程自体に、強いストーリ性を感じた」ことに対する報酬だったのです。

最後に

本書はプロローグから始まり、第1章〜第6章まで、とても濃い話がたくさん詰まった一冊です。

プロローグ 経営はストリートから始まった
第1章 人は絆にお金を払う
第2章 SHOWROOMが作る新しいエンターテインメントのかたち
第3章 外資系銀行でも求められたのは「思いやり」
第4章 ニューヨーク奮闘記
第5章 SHOWROOM起業
第6章 SHOWROOMの未来
エピローグ コンパスは持っているか

今回書かせていただいたのは、主に「第1章」の内容です。
他の章の内容も、とても深いものとなっているので、ぜひ読んでみてください。

また、本書で取り上げられている「価値」の考え方は、『お金2.0』という本でも似たようなことが書かれています。

「これからの世界は、資本主義・お金ではなく、本当に価値あるもの・価値主義に移り変わっていく」



「人という字は互いに支え合いながらできている」なんて言ったりします。
やはり、人は人なのです。人の本質は金でもないし、金を作り出すための道具でもありません。
お互いに関わり合って我々は生きています。
本書の言葉を借りるなら、「絆」です。

お金にばかり拘っていれば、「モノ対ヒト」の関係になってしまう。

お金を第一に置くのではなく、「絆」に重点をおく。

すると、気づいたら「お金」が後からついてきてるかもしれません。

世の中、うまく回っているもんです。

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