【北欧神話】神々の混沌「ラグナロク」—— 残虐の戦さが、平和な世界を作り出した

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本日は、北欧神話シリーズ第三弾「ラグナロク」についてです。

霜の巨人「ユミル」

神々が存在する以前、そこには二つの世界がありました。灼熱の国「ムスペルヘイム」と、極寒の国「ニヴルヘイム」です。

ある日、霜の中から一体の巨人が生まれます。原初の巨人「ユミル」です。

ユミルは、牝牛の「アウズフムラ」が出す乳によって生き延びていました。そして、霜の巨人と呼ばれる一族を形成することで、子孫を繁栄させました。

そんな時、アウズフムラの中から最初の神「ブーリ」が生まれます。やがてブーリは、霜の巨人と交わり「ボル」という息子を作ります。それからボルも巨人の娘と交わり、「オーディン」「ヴィリ」「ヴェー」が生まれるのでした。

神々の世界

オーディンたちは、これから神々の世界を作っていく上で、霜の巨人や、その原初の巨人ユミルを邪魔だと感じていました。そこで、オーディンたちは、その問題の根本であるユミルを殺し、巨人を滅ぼしてしまいます。

その後、オーディンは、ユミルの体を材料に、神々の世界「アースガルズ」、人間の世界「ミズガルズ」といった世界を9つ作りました。(※ボーナストリビア)

こうした背景から、霜の巨人は神々に恨みを持ち、争うようになります。

そんな中、オーディンは予言によって、最終戦争で神々が滅ぶことを知ります。オーディンは、その運命に逆らおうと、知識や戦士を集めてまわりました。

しかし、ラグナロクを回避することはできませんでした。

純粋さがなくなった世界

ラグナロクが始まる少し前、神々の間で、ロキによって、オーディンの息子「バルデル」が殺害される、という事件が起こりました。神々の怒りをかったロキは、逃げ惑います。

しかし、ついにトールに捕まり、罰を受けることになります。それは、大きな岩に磔にされ、頭上にいる蛇の毒液を受け続けるというものでした。さらに、その磔に使われたのは、神々によって獣へと帰られた後、無惨に殺された、自分の息子「ナリ」の腸でした。

一方、地上では、光明の神「バルデル」が死んだことで、美しく、純粋なものが消え、暴力や悪がはびこるようになります。

そして、やがて負の感情に包まれた大地はひび割れ、ロキが捕縛から解き放たれたのです。

再び無となった世界でしたが、やがて海に沈んだ大地が浮かび上がります。そこは穀物が生い茂る美しい場所となっていました。死の国から舞い戻ったバルデルやラグナロクを生き延びたトールの息子、“モージ”と“マグニ”が、かつてあったアース神族が暮らす領域を思って懐かしむ場面で北欧神話は幕を閉じます。(結末については諸説あり)

厳しい冬

ラグナロクの前触れとして、厳しい冬が訪れました。

人間の世界は、太陽と月が失われ、混沌となります。

混沌となった世の中で、すべての枷が外れ、戦いが始まりました。

捕縛されていたロキや、魔狼フェンリルも解き放たれ、海からは大蛇ヨルムンガンドが襲いかかるのでした。ロキも、ムスペルスヘイムの率いる船団に加勢します。

そこからの戦いは、どんどん荒れていきます。

最強の雷神トールは、ヨルムンガンドに敗れてしまいます。そして、オーディンも、ロキの娘であるフェンリルに丸飲みにされてしまうのでした。

最終的に、巨人スルトが放った炎の剣により、世界は炎に満ち、世界を焼き尽くしてしまうのでした。神々は次々と打ち倒され、世界は海中に沈んでいったのです。

これが、ラグナロクの終焉です。

おわり

バットエンドで終わったこの物語には、後日談というか、オチがあります。

海中に沈んだ大地は、緑豊かな土地になって浮上し、善良な者だけが生きる新世界として再生したのです。

また、罪のない「バルドル」や「ヘズ」がよみがえり、新しい世界で過去を懐かしむという一幕で物語は終わるのです。

ボーナストリビア:9つの世界

オーディンによって作られた、9つの世界を紹介します。

最も北方に位置する、極寒の世界「ニヴルヘイム」と、死者の国「ニヴルヘル」です。

反対に南方に存在するのが、灼熱の国「ムスペッルスハイム」。

そして両者の間にあるのが、神々の国「アスガルド」、人間の国「ミッドガルド」、霜の世界「ヨトゥンヘイム」といった世界です。

この他に、ヴァン神族が住む「ヴァナヘイム」、リョースアールヴ(白妖精)の住む「アールヴヘイム」、デックアールヴ(黒妖精)が住む「スヴァルトアールヴヘイム」という世界が存在します。

ただ、この3つの世界は、宇宙のどこにあるのかはっきりしていません。

そして、これら9つの世界を支えているのが、世界樹ユグドラシルです。

ユグドラシルは、9つの世界に木陰を与え、世界中にその根を伸ばしている巨木です。その葉はいつも青々と茂っており、周辺には鷲や4匹の牡鹿、有翼の黒龍ニーズホッグなどの、様々な動物たちが棲んでいるとされています。

そして、この世界樹ユグドラシルの上には、ユミルの頭蓋骨で作られた「天」があります。天では太陽と月を結ぶ馬車が、狼に追われながら走っているのだとか。

(参考文献)

いちばんわかりやすい 北欧神話 (じっぴコンパクト新書)
今から約2000年前、北欧の国々で信仰されていた多くの神々、主神オーディン&...
図解 北欧神話 F‐Files
主神オーディンと悪神ロキ、戦乙女ヴァルキュリャや大蛇ヨルムンガンドたちの織&...
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霧と炎が支配する世界に巨人と神々が生まれた。彼らは定められた滅びへと突き進んでゆく――断片的な詩や散文からなる複雑な北欧神話を現代ファンタジーの巨匠が再話。後の創作物に多大な影響を与えた神々の物語がよみがえる。 ◇◆目次 上巻◆◇ 序文 北欧神話の神々 始まりの前と、それから ユグドラシルと九つの世界 ミーミルの首とオ……もっと読む
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