[ひと息読書]「夜と霧」—— 本当の『地獄』とは何か? 生きるとは何か?

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本日は、約70年間、発行部数900万部以上の世界中で読み継がれている名著「夜と霧」について、書いて行こうと思います。

著者・ヴィクトール・E・フランクルさんは、『嫌われる勇気』で知られるアドラーの弟子であったそうです。

本書は、そんな精神科医のスペシャリストが、アウシュヴィッツをはじめとする数々の強制収容所施設で、どうにか生き延びた体験を生々しく書かれている作品です。

我々が蓋をし、見ないようにしていた現実が如実に書かれています。

僕たちが住む社会とは、歴史とは、そして人間とはなんなのか?

とても内容の深い一冊です。

ぜひゆっくり読み、色々なことを考えてみてください。

※強制収容所
 ナチス・ドイツが、数百万人というユダヤ人をガス室に閉じ込めるなどして虐殺し続けた施設。
 著者のフランクルさんも、ユダヤ人であったため、例外なく連行されました。

夜と霧 新版

地獄とは

フランクルさんの強制収容所での境遇は以下の通りです。

一日中、なんの意味があるのかわからない肉体労働を強いられ、監視役の機嫌次第で、ボッコボコに暴力を振われる。

ほぼ水みたいなスープを飲み、六畳一間くらいのスペースに9人でキツキツの中、眠る日々。

しばらくすると、次々と仲間はガス室送りになり、殺される。
そしてその死体を運ぶ作業もユダヤ人が行う。

もちろん、家族とは隔離されてしまう。
フランクルさんは、お父さんとお母さん、そして、収容される9ヶ月前に結婚した最愛の奥さんまでもみんな死んでしまいました。

こんなまさに「地獄」と呼べるような体験をしながらも、どうにか生き延びることができたフランクルさん。

「生き延びられたこと、この本が生まれたことが奇跡である」
と、フランクルさんは本書で述べられています。

人類史上で最悪の惨劇を体験した人が、たまたま精神科医であったためにその現場で揺れ動く、人間たちの心を分析し、記録することができた。

そして、運よく生き延び、文章で書き残す気力と体力が残っていた。

まさに「奇跡」です。

未来に希望が持てるかどうか

「強制収容所で絶望に耐えられず、死んでしまう人の特徴」とはなんなのか?

フランクルさんの結論は、「自分の外側に期待する人」だそうです。

自分でコントロールできない、外部の環境に期待してしまう人が、絶望に耐えられず、死を選んでしまうそうです。

スティーブン・R・コヴィー氏が書かれた『7つの習慣』と言う本でも、「影響力の輪」と「関心力の輪」と言う話で、似たようなことが書かれています。
「関心の輪」を広げすぎる人間は、自分のコントロールできないものに悩んでしまう。

もちろん一番最初に死んでしまう人は、自分の外側だけでなく、何に対しても期待をもてなくなった人、パニックになってしまった人から順番に死んでいきます。

強制収容所には、ユダヤ人たちが逃げ出さないように、高圧電流が流れる柵が設置されています。
生きることに絶望しか見出せなくなった人たちは、自らそこに向かって行き、自殺を試みるのです。

そして次に死ぬ確率が高い人たちが、「自分の外側に期待する人たち」です。

過酷な状況下で、自分でコントロールできないことに関心を向けている人たちは、その関心までもが絶望に拍車をかけてしまうのです。

1944年のクリスマスが終わってから一週間、かつてないほど大量の死人が出たとそうです。
労働条件や食べ物、気候、伝染病などは、全く関係ありません。

当時、収容所の中では、
「今年のクリスマスには家に帰れるんじゃないか」
「帰れるらしいよ」
と言ったような噂が広がっていたそうです。
多くの人たちは、
「さすがに今年のクリスマスには帰してもらえるだろう」
と思っていたそうです。

しかし、そうはならなかった。

クリスマスに期待を抱いていた人たちは、酷くメンタルが落ち込み、体の抵抗力が危険なレベルまで下がり、大量に死んでしまう事態となってしまったようです。

最後に

「どんな人が強制収容所を生き延びたのか」
それは、「自分の内側に期待をした人」です。

「自分自身の未来」に期待をし続けた人が、多くの苦難の中どうにかして生き延びたそうです。

フランクルさん自身は、「将来、心理学者として語るんだ」といった未来を抱いていたことにより、強制収容所を生き延びることができました。

「暖房の効いた大きなホールで、スポットライトを浴びながら、公演している自分」を彼は想像していたそうです。
彼にとって、当時の苦しみさえも、研究対象の1つだったのです。

「将来の自分への期待」
これこそが、当時の人たちにとって、何よりも重要な生きる糧であったのです。

女優の門脇麦さんは『情熱大陸』で、自分のバイブルとして、本書を紹介し、こう言葉を加えました。
「現代の私が読むからこそ
 『今の時代に希望を持たなくてどうする』
 って気持ちになれます」

皆さんにも、世代を超えて語り継がれてきたこの名著を、ゆっくり読み、色々なことを考えて頂きたいです。

きっと人生のバイブルになるはずです。





ありがとうございました。

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