集中力はトレーニングできる
「集中しろ! 根性が足りん! まったく最近の若い奴は……」
と、人は集中できない理由を、「若いから」「劣っているから」「怠け者だから」と考えます。
しかし、このどれも間違いです。
集中できないのは、「集中」がそもそも何によってもたらされているのかを理解していないからです。
「集中」はウィルパワーからくる
では、集中の根源はどこにあるのかというと、それは「あなたの額から2、3センチ奥」(前頭葉)にあります。
そこは、人の思考や、想像力をつかさどる部分で、私たちヒトは、この部分を成長させることで、他の動物にはない力を手に入れたのです。
この力は、思考や感情をコントロールする力で「ウィルパワー」とも呼ばれています。
宿題が仕上がらないのは、ゲームを我慢しているから
「集中」という行為も、この「ウィルパワー」によりもたらされます。
そして最も重要なのは、「ウィルパワの出所は、一つしかなく、無限ではない」ということです。
朝起きる、朝食を食べる、LINEの返信をする、居眠りをしないようにする、電車に乗る、そして、集中する。
この全ての行為が、ウィルパワーによってなされます。
そして、この力は無限ではない。
ので必然、夜になればなるほど、決断力や思考力は下がり、集中力も無くなっているわけです。
例えば、夕方、学校から出された宿題を頑張る学生がいたとします。
その学生は、「ゲームをしたい」という欲求を抑えながら、机に向かい続けます。
これは、ウィルパワーによって、「我慢」と「集中」の二つの行為を同時に行っていることになります。
ウィルパワーの消費量が増大になり、作業が捗らなくなるのは明白です。
ウィルパワーは貯金と同じ
では、どうすれば良いのか? ウィルパワーがなくなったら、諦めるしかないのか?
いいえ、そうではありません。
ウィルパワーを貯金と同じと考えれば良いんです。
貯金をするとき、大きく二つの手法があります。
それは、お金を節約するか、増やすかです。
これと同じで、ウィルパワーも、力を節約するから、力を増やすか。
この2つを行えば良いのです。
力を節約する
まず、ウィルパワーを節約する方法についてです。
ひとつの方法としては、「選択肢を減らす」ことです。
ジャムの実験で有名なように、私たちは、選択肢が増えれば増えるほど、決断できなくなります。
世に言う、「選択のパラドックス」です。
この選択を減らす手法として有効なのが、「習慣化」です。
毎日やる行動の、パターン化できるところを探し、それを増やす努力をする。
そうすることで、余った力を、また他のところを習慣化させるために使っていく。
まさに、お金のシステムと同じですね。
力を増やす
続いて、ウィルパワーを増やす方法についてです。
それはズバリ、「セルフモニタリング効果」を利用するのです。
これは、先ほどの、「習慣化」とは逆に、これまで無意識にやってきた事柄をあえて意識することで、ウィルパワーを鍛える方法です。
具体的には、「姿勢をよくする」「頭の上にA4用紙を乗せ、落ちないようにする」「左手でドアを開ける」などがあります。
このように、普段行なっていることを「やらないようにする」。
そうすることで、多大な集中力が必要とされ、結果、集中力が鍛えられると言うわけです。
おわり
人生は、生まれた瞬間から遺伝や環境によって、50%が決定づけられている、と言うのが、昨今の認識となっています。
失敗を生まれのせいにしたり、人生を親のせいにしたり。
そして、集中できないのを、遺伝のせいにしたり。
そんな人がいる一方で、大きな集中力を持って、自分を鍛え続けている人もいます。
少なくとも彼らは、集中力は生まれつきでも、根性でもない、と言うことを、知っているのです。
人生、集中力があれば、結構なんとかなるものです。
みなさん、「集中力」を持って、人生を切り開いていきましょう。
ボーナストリビア:運動神経は遺伝なのか?
中高時代は、ペーパーテストの点数で階級が分かれ、小学生時代は50mのタイムによって、階級分けされる。
より具体的には、小学生の時は足が速い奴がモテ、中学時代は喧嘩が強いやつ、高校時代は勉強できるやつ、それ以降は、お金を持っている奴がモテる。
多くの場合は、この公式が世の中のカップルに当てはめることができます。
そして、人はこれらを「遺伝」で片付けることが多々。
しかし、こと、運動神経に関してはどうなのでしょうか。
「私(もしくは俺)運動神経悪いから」とは、世の7割型の人類が口にする言葉ですが。
しかし、それは果たして、「遺伝」つまるところ、「才能」という二文字だけで片付けてしまって良いのでしょうか。
よくよく考えると、意外とどうにかなる部分なのではないでしょうか。
そもそも運動神経とは、運動に関する指令を伝える神経のことです。
脳から足や腕など全身の筋肉に、「こう動け!」と伝える神経の束が「運動神経」です。
「運動神経が良いか悪いか」は、この神経の束が太いか細いか、そしてその伝達スピードが早いか遅いか、だと思います。
そして、この運動神経は、その太さも、速さも、後天的に備わっているものです。
つまり、練習を重ねれば、血流が良くなり、脳への刺激を活発にして、体の反応をスムーズになるのです。
運動神経は、運動すれば「良く」なる。
ゲームみたいに、プレイ時間が伸びるほど、どんどん成長する分けです。
現代の医療では、生まれてくる赤ちゃんに、一万円くらい払えば、約 120 に及ぶ病気のリスクを抑え、目の色や筋肉のタイプなどを計 250 項目から選ぶことができます。
「デザイナーベビー」です。
そうやって生まれてきた赤ちゃんは、生まれた瞬間から「運動神経が良い」わけですが。
そんな赤ちゃんたちは、果たし幸せなのでしょうか。
0からでも育てられる「運動神経」を、最初から100の状態で与えられた赤ちゃんは、果たして幸せなのでしょうか。
それはまるで、誰かがプレイし終わったゲームを、プレイしているみたいではないでしょうか。
運動神経が悪いこと。
集中力が悪いこと。
頭が悪いこと。
人生は悪いからこそ楽しいし、悪い奴ほど面白い。
最近はそう思います。