【ブラックマーケティング】ナルシストは理想と現実との乖離に苦痛を感じている

スポンサーリンク

今回は、中野信子さんと、鳥山正博さんが書かれた『ブラックマーケティング 賢い人でも、脳は簡単に騙される』の中から、「ナルシストは現実との乖離に苦痛している」というお話をします。

ナルシスト

「自分はモテる」と豪語し、容姿を自慢するような、自己愛が強い人のことをよく「ナルシスト」といいます。

とある実験では、そういった人たちが自分の容姿を鏡で見たときの脳の状態について調べました。

すると、脳の中でも特に、「前部帯状回」が反応していることがわかりました。

「前部帯状回」は、「違和感や不快感や痛み」を感じる部分です。

つまり、ナルシストは鏡に映った自分の理想的な姿に陶酔していた訳ではなかったのです。

むしろ、理想と違う自分の姿が気になって仕方がないから鏡を見続けていたのです。

以上を踏まえると、ナルシストの行為は、「苦痛の表れ」と考えることができます。

そんな苦痛を解消するには他者からの賞賛が必要です。

ナルシストは容姿をホメほしくて、ナルシスティックな振る舞いをしているのです。

おわり

ナルシストとは、理想と現実の乖離に苦痛を感じている人たちのこと──。

そう考えると、これはあながちナルシストに限った話ではないとも思えます。

周りから一歩前に出た存在になるために付ける「プランド品」。
身長を高く見せるために履く「シークレットブーツ」。
頭のテカリを隠すために被る「ウィッグ」。

このどれも、現実と理想との乖離に悩む人間が、少しでも理想に近づけようとするがためにする行為です。

そして、マーケターたちは、そんなナルシスティックな人間に、「賞賛」というセールストークを投げかけます。

このような「ナルシスト社会」によって経済は回っているのです!

おまけ雑学:人間は、人を「好き」か「嫌い」かで、判断する!

今回のナルシストのお話で、「ナルシストってなんか……嫌い!」「不快!」「不潔!」と感じた方もいるかもしれません。

それもそのはずで、人間は元来、人を「好きor嫌い」で判断し、そのラベリングはなかなか外すことができないからです。

では、その仕組みは、一体どうなっているのでしょうか?

まず、人間の「快」「不快」は、「扁桃体」で、かなり本能的に、瞬間的に判断されます。

ので、 人の好き嫌いに限らず、すべての出来事に対し、脳は「快」「不快」を瞬時に判断していきます。

そして次に、「快」と判断した刺激に対しては「接近」、「不快」と判断した刺激には「回避」、という反応をとらせます。

「美味しい」と感じたお店に足繁く通い、「不味い」と感じたお店の近くの道を通らなくなるのは、そのためです。

さらに、このラベリングは、第一印象で、ほとんど決定されます。

たとえば、子どもがニンジンをはじめて食べたとき。

その時に、「苦い!」と感じてしまうと、それは「不快」刺激となって脳に伝わり、「私はニンジンが嫌い」というレッテルをずっと貼り続けることになってしまいます。

すると、次にニンジンを食べることが非常に難しくなるのです。

また一方で、最初に食べたニンジンが「サイゼリア」のハンバーグの隣に配置されているものだった場合、「ニンジンは甘くて美味しいもの」と認識し、「また食べたい!」という気持ちになります。

こうして考えると、「子供が野菜嫌い」なのは、親の作る手料理に原因があるのかもしれません。

話を戻します。

そもそも、なぜ体が、このようなシステムになったのでしょうか。

それは「生き抜くため」です。

その昔、人類の行動と脳のシステムはある一つの目的のために作られました。それは、「生存確率を高める」ことです。 有害な食べ物は二度と口にしない。 危険な場所には二度と行かない。 凶暴な敵と遭遇したら、ただちに逃げる。

「不快」を避ける行動は、「危険」を避けるための行動だったのです。

その結果、私たちはこうして生きているわけですから、なんとも皮肉な話です。

ある心理学実験では、人間の印象は初対面で 90%決定し、あとからその印象を変えるのは非常に難しいという結果が出ています。

このように、初対面の影響力が大きいことを、心理学では「初頭効果」ともいいます。

脳は「好き」「嫌い」の二者択一で、初対面の人間を判定し無意識にレッテル貼りをしてしまいます。

ですので、あなたが「不快」と感じ、「嫌い」だと思っているその人は、実際よく考えてみると、そこまで嫌いでもなかったりするかもしれません。

ジャングルを生き抜いた人類。

今度は、平和を生き抜くためのシステムに切り替えていく必要があるのかもしれません。

Amazon.co.jp



スポンサーリンク
AichiLog