心配事の97%は起こらない!
「心配事の 97%は起こらない」 そんな研究があります。
有名なのは、ワイルコーネル医科大学のロバート・ L・リーヒ氏たちが行った調査です。
この調査では、不安症に悩む男女を集め、全員に日々の心配の内容と、その心配事が実際に起こったかどうかを 2週間にわたって記録するよう指示しました。
すると、次のことがわかりました。
●不安症の人が抱いた心配事の 85%は実際には起きなかった
●不安が現実になった場合でも、そのうち 79%は予想より良い結果が出た
●心配事が予想より悪く終わるケースは全体の約 3%だった
要約すると、心配事の 97%は、はじめから杞憂だったわけです。
だからなんだ!
この結果には、多くの人が共感すると思います。
ただ、だからと言って、何かが変わるわけではないのが、真実なのではないでしょうか?
「97%の心配事は無駄です! いまを楽しみましょう!」
「人生は多動力! とにかく行動しましょう!」
「死ぬこと以外は、かすり傷! 小さなことは無視し、自分らしく生きましょう!」
これらの言葉が、根本的な解決になった人は、少ないはずです。
一時的に、気分は良くする効果はあります。
が、「気にするな」と言われただけで「気にしない」で済むなら、そもそも「悩み」なんて言葉は存在しません。
「不安」は年々増加!
事実、厚労省の統計で、「いまの暮らしに強いストレスを感じるている労働者」は 58%を超え、「不安や生きづらさを日々感じながら働き続ける人」の数も、年ごとに増え続けていることがわかっています。
そしてさらに、中でも深刻なのが若年層です。
「自分の将来に不安を抱く10 ~ 30代の日本人」は 78.1%にも及んでいます。
また、日本の10 ~ 39歳までの死因の1位は「自殺」です。
加えて、このような状況は日本だけに止まりません。
近年の国際共同研究では、一生の間に鬱病や不安症にかかる人が 3割を超える国も珍しくないことがわかっています。
●気疲れしやすく、いつも疲れてしまう
●幸せな環境なのになぜか幸せを感じない
●不幸ではないが生きる意味も感じられない
●未来に明るい展望が抱けず、すべてから逃げたい
●他人の何気ない言葉に傷ついて頭から離れない
このように、人生に何らかの生きづらさを感じている人が世界的にも増加しているのです。
おわり
現代人の苦しみが絶えないのはいったいなぜでしょう。
●苛立ちを感じるから。
●孤独にさいなまれるから。
●他人に嫌われるから。
●生きる意味が感じられないから。
このような表面的な理由なら、たくさん挙げられます。
しかし、これらの原因に対して、個別に対処することは難しいです。
悩みや心配事がどんなものでも、「そもそも〝苦しむ〟とは何か?」を掘り下げなくては、何の解決にもなりません。
そこで本書では、大まかに2つのステップでの対処方を考えました。
①人生において「苦しい」とはどのような現象なのかを考える
②あらゆる「苦しみ」の共通項を見極めて普遍的な対策を立てる
「我々が直面する重要な問題は、その問題を作り出したのと同じ思考のレベルでは解決できない」(アインシュタインより)
本書では、「苦しみ」を掘り下げるために、神経科学や脳科学、生物学のデータに基づいて、アプローチしていきます。
「苦しみ」の足かせを外すための一冊!
Amazonプライム会員の方は無料で読むことができますので、この機会にぜひ!
ボーナストリビア:「末っ子は甘えん坊」は「不安」からくる!
「末っ子は甘えん坊」と言われます。
ただ、そのことを裏づけるデータがあることをみなさんはご存知でしょうか。
このデータは、 オランダにあるフローニンゲン大学の心理学者たちによるもので、「兄弟姉妹の出生順位が嫉妬深さに関係している」ことを示しています。
具体的には、964人をサンプルに出生順位と嫉妬深さをポイントで表しました。
すると、第 1子が 11.8ポイントだったのに対し、末っ子は 13.77ポイントという結果になりました。
つまり、末っ子のほうが嫉妬深い傾向にあったのです。
その理由としては、「愛情」にありました。
第1子は親の愛情をたっぷりと受け、不安や嫉妬心が育まれることは少ないです。
一方、末っ子になればなるほど親が子育てに慣れ、放任されがちになります。
すると、愛情をもとめ、甘えや嫉妬心が育まれやすい傾向になる。こういう仕組みです。
そのため、逆に親が全員に等しく愛情を注いだ場合は、甘えん坊になりにくいということになります。