今回は、精神科医の樺沢紫苑(かばさわ・しおん)さんが書かれた『人生うまくいく人の感情リセット術』から「苦しいの後にくる「楽しい」のメカニズム」について取り上げます。
苦しいの後にくる「楽しい」の秘密
「苦しい」「辛い」と感じた後に、「うわ、楽しい!」「きもちいい!」と感じたことが、みなさんもあると思います。
また、その「苦しい」が大きいほど、その後の「楽しい」もまた大きくなることを、経験として知っているはずです。
では、なぜこのような現象が起こるのでしょうか。
それは脳科学の分野で説明するができます。
一言で言うと、「ドーパミン」が出るからです。
「ドーパミン」は「幸福物質」とも呼ばれ、主に、次のようなことをしているときに分泌されます。
「楽しいことをしているとき」
「目的を達成したとき」
「他人に褒められたとき」
「新しい行動を始めようとするとき」
「やる気が出た状態になっているとき」
「好奇心が働いているとき」
「恋愛感情やトキメキを感じているとき」
「セックスで興奮しているとき」
「美味しいものを食べているとき」
そして、「苦しい」と感じた後にも「ドーパミン」が分泌されます。
なぜなら、「苦しい」と感じた後というのは、その人が何か目標があり、困難を克服し、壁を乗り越えるた後のことだからです。
ドーパミンは、簡単すぎる試練だと分泌されません。
ある程度の難易度、困難を乗り越えてはじめて分泌されるのです。
つまり、「苦しい」がないとドーパミンは出ないのです。
おわり
というわけで、「苦しい」と「楽しい」の因果関係は上記のような理由になります。
また、苦しければ苦しいほど、楽しいも大きくなる、というのも、ハードルが高ければ高いほど、その分、分泌されるドーパミンの量が増えるからと説明することができます。
そのため、「苦しい」を経ずに得る「楽しい」は、本来、ありません。
あったとしても、その楽しいはすぐになれてしまい、飽きてしまいます。
ですので「苦しい」は、「楽しい」「幸せ」「感動」の前兆とも言えます。
今回の記事が、「苦しい」を乗り越えるための「勇気」を与えられれば幸いです!
おまけ雑学:「脳」は痛みを感じない⁉︎
我々が感じるさまざまな痛みは、「視覚」「聴覚」「嗅覚」「味覚」と同様、体の中にある神経を伝わって「脳」が感じています。
しかし、痛みを感じている脳自体は、痛みを感じません。
なぜなら、脳自体に、痛みを感じる機能が備わっていないからです。
では、頭痛は一体なんなのでしょうか?
じつをいうと、頭痛の正体については、現在でもよくわかっていないそうです。
そんな中でも明らかになっていることを挙げますと以下の通りです。
まず、脳は神経細胞と神経線維で構成されています。
しかし、そこには、痛みを電気信号として脳へと運ぶ「知覚神経」が入り込んでいません。
ただし、脳を包んでいる硬膜や血管、さらには頭部の筋肉や皮膚、骨膜には「知覚神経」が通っています。
そして、偏頭痛によって感じる痛みは、ストレスなどさまざまな原因によって刺激された脳の血管が広がって、周囲の神経を圧迫することで起こる、と考えられているのです。