習慣を変えることが難しい理由は、2つあります。
1つは、変えようとするものが間違っている点です。
もう1つは習慣を変えるための方法が間違っている点です。
今回は、前者の「変えようとするものが間違っている点」について扱います。
変化が起こる3つの段階
行動変化には、「結果」「プロセス」「アイデンティティ」の3層があります。
第1層は「結果の変化」です。
設定する目標のほとんどが、この層に含まれます。
第2層は、「プロセスの変化」。
新しいルーティンを編み出したり、机をきれいにしたり、やり方を変えるなどが、この層です。
第3層は、「アイデンティティの変化」。
この段階は、信念の変化に関係しており、最も重要な変化です。
改善を始めようとするとき
「結果」は獲得するもの、「プロセス」は行うこと、「アインデンティティ」は信じていること。
習慣を変える時、大抵、何を達成したいか、つまり「結果」をベースにします。
一方、「アイデンティティ」をベースに習慣を変える、という方法もあります。
この方法は、「どんな人になりたいか」にフォーカスする考え方です。
「アイデンティティ」からつくる習慣
あらゆる行動は、その人の「信念」に基づいています。
「遅刻しても平気な顔をしている人」(俺は夜型!) 「決して家から出ようとしない人」(俺はフリーランス!) 「周り右に行ったら左にいきたがる人」(俺は皆と違うことを!)
このどれも、「自分の信念」、「アイデンティティ」をベースにとる行動です。
そのため、本当の行動変化とは、「アイデンティティ(信念)」を変えることにあるのです。
やる気によって行動は、変化するかもしれません。しかし、習慣を続けられるのは「アイデンティティ」の一部になったときだけなのです。
ですので、目標を設定するときは以下のように考えます。
●「読書習慣」→読書家になる ●「毎日運動」→スポーツマンになる ●「記事執筆」→作家になる
このように、アイデンティティを目標にすることで、一時的な改善が、自分の人となりの一部となる。
「アイデンティティ」は諸刃の剣
行動は、アイデンティティの反映です。
それが意識的でも、無意識でも、自分はこういう人間であるということを暗に示しているのです。
そのため、以下のような事柄も考えられます。
「方向音痴」「音痴」「朝は無理」「コミュ障」「数学はむり」
このように、マイナスのアイデンティティを持つこともあるのです。
そして、このようなアイデンティティは、私たちに悪影響を及ぼします。
またさらに、一度、身につけてしまったアイデンティティを変えることは、非常に困難なのです。
アイデンティティを変える2段階!
では、アイデンティティを変えるには、どうすれば良いのでしょうか。
それは、次の2スッテプを踏むことです。
一つ目は「どんな人間にないたいか」を決めます。
自分の主義主張、価値観、何を支持するか、どんな人間になりたいか。とにかく、なんでもいい。
とにかく、なりたい自分を思い浮かべる。
例えば、ここでは「作家になりたい」と決めたとします。
そして二つ目は、「そこから、逆算する」です。
欲しい成果はなんだ? その成果が得られている、具体的に人物は?
村上春樹さんはどうやって1日を過ごしているだろうか?
『嫌われる勇気』を書かれた古賀さんは、どうやって執筆しているのか?
このように、「なりたい自分」に疑問を投げ続けることで、自然と、それが自分のアイデンティティの一つになるのです。
おわり
「アイデンティティ」を習慣のベースにするメリットとして、もう一つ挙げられるのは、「ブレない」という点です。
「毎日走る」という目標より、「ランナーになる」という目標の方が、ブレない、芯みたいなものが見えてるはずです。
「毎日走る」という目標は、台風やパンデミックが来たら頓挫してしまいます。
しかし、「ランナーになる」という目標を立てれば、そのとき、その状況に柔軟に対応した行動を取ることができるはずです。
「何が欲しいか」ではなく、「どうなりたいか」でもなく、「どのような人になりたいか」。
あなたはどんな人になりたいですか?
おまけ雑学:アイデンティティの語源
「アイデンティティ」という言葉はもともと、二つのラテン語を合体した言葉でした。
一つは、「エッセンティータス」という、「存在」を意味する言葉です。
もう一つは、「イーデンティーディム」という、「繰り返し」を意味する言葉。
つまり、「アイデンティティ」とは、「繰りかえす存在」という意味なのです。
ということは、「アイデンティティ」は「習慣」とも言い換えることができますね。