【運を運ぶ者】あなたの運を好転させる者です!

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本日は、『運転者 未来を変える過去からの使者』を読んでの感想です。

年齢、職種、立場関係なく、現代を生きるすべての人が楽しめる一冊です!

あらすじ

本書のストーリラインは、シンプルです。

保険会社に勤める主人公・岡田修一。前年までは非常に良い成績で、給料も右肩上がりでどんどん増えていました。しかし、ある日、新規契約者20人がいっせいに解約するという事態が起こります。

そして丁度同じ時期に、パリ旅行への資金不足や、不登校の娘の問題、夫を亡くした母からの帰省してほしいという電話など、崖っぷちの修一のところにたくさんのトラブルが舞い落ちる。

「仕事だけでも大変なのに……なんで俺ばっかり」
「なんで俺には運がないんだ! なんで俺ばっかりこんな目に!」

と、思っているところに一台のタクシーが止まります。

「私は運を好転させる者、運転者です」

自分を不幸で不幸でどうしようもないと感じる主人公と、運を好転させるというタクシードライバー。

本作品は、運転者によって、主人公の人生が好転するまでの物語です。

主人公と路上ギタリストとの出会い

主人公は、運転者に運ばれた場所でさまざまな人と出会います。

中でも私が最も印象を受けた出会いが、とあるバーでのお話です。

その日、主人公が運転者に運ばれた場所は『TAXI』という名前の酒場でした。

主人公はそこで、1人の男性に話しかけます。男は、路上ギタリストで、稼ぎがあると、よくココにきて、お酒を飲むと言います。

以下の引用は、その男との会話です。

「ギターは指先が硬くなるから弾けるんですよ。これってすごいことだと思いませんか?」
「すごいこと……?」
 修一は眉間にしわを寄せた。
「ええ。ずっと続けていると身体がギター仕様に変わるんですよ。でもこれ、ギターだけじゃないでしょ。人間の身体って、ひとつのことをずっと続けているとそれをやるのに適した仕様に変わっていくんですよ。これってすごくないですか」

(中略)

「俺ね、人間の身体は、どんな仕様にも対応できるように、最初はあらゆるところが柔らかくできているんだと思うんですよ。それであることに興味を持って身体を使い始めて継続すると、それに必要な部位が成長したり、硬くなったりして、それをするのに適した身体になってくれるんです。でもその間には必ずあるものがある」「その間にあるもの……」
 修一は赤くなり腫れた左手の指先を見た。
「そうです。『痛み』です。ジンジンするでしょ。痛みがあってようやく身体はそれをやるにふさわしい仕様に仕上がる。柔らかいのは、何にでもなれる証で、痛みを経験して初めてスペシャリストになれる」
「痛みですか……」
 左手の指先のうずきを感じながら、修一は藤上の話を聞いた。
「動物は靴をはかないでも山の中を歩けるのに、人間はどうして靴をはかなければ歩けないのか……きっとこれも同じだって思うんです。生まれてからずっと靴下と靴に守られて生きてきたから、足の裏がそういう仕様になってないんですよ。つまり、人間の足が柔らかくて弱いんじゃなくて、人間が足を過保護にしている」
「過保護?」
 修一はその表現がおかしくって少し笑顔をつくった。
「そう。痛みから逃れるためにずっと靴を使っているでしょ。でもそれを使っている限り、それがなければ生きていけない身体でいることになる。でも思い切って靴をやめれば最初は痛くてたまらなくても、そのうち靴がいらない足ができあがりますよ」

(中略)

「要は、人間は最初は柔らかくて弱いんですよ。だけど、使い続けていくと、痛みは伴うけれどもどんどん強くて硬くなっていって、痛みを感じなくなる頃にはそれ仕様に生まれ変わってるってのが俺の持論なんです」



人間はどんな仕様にもなれる!

「人間は最初は柔らかくて弱い」

私は本書を読んで、この表現が一番気に入っています。

柔らかくて弱い。

本当にその通りだと思います。

赤ちゃんが歩けるようになったのは、「柔らかくて弱い」体躯を、近くにいる人間に順応しようとしたからです。

人間の「柔らかくて弱い」は、何か目標・目的があり、それに向け、「痛み」を伴いながら継続していくことで、その仕様に変化していく。

人は元々、頭が「弱い」生き物です。それを、我慢という「痛み」を伴いながら学習を継続させることで、賢く「強い」生き物に進化しました。

何かのプロフェッショナルや専門家はよく、「tough(かたい)」「hard(硬い)」と称されます。

彼らは皆、最初の「柔らかく弱い」状態を、「痛み」を伴いながら、その環境に順応したからそう呼ばれるのだと思います。

「何か目標を決めたら、そこに向けて「タフ」であり「ハード」であれ。さすれば、人はその環境に順応する」

そんなことを学べた一冊でした!

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