性悪説
「性悪説」という考え方があります。昔の中国思想家、孟子が唱えた考え方です。
「人は生まれながらにして悪で、そのため、善であろうとする」
『君主論』でも、似たようなことが書かれています。
「人間もともと、邪悪な存在である」
良い時には、「ハハッ、どこまでも貴方様についていきます」と言っておきながら、いざ国が存亡の危機に晒されると、「もうあの王様、オワコンだわ」と言って立ち去る。
このように、人間はヨコシマなものだと考えます。
まず、人に対する見方を変えるのです。
人との関係は、利害関係で成り立ち、それが切れれば、絆も切れる。
「金の切れ目が縁の切れ目」というわけです。
また、そうならないために、敷かれたのが処刑などといった「法律」です。
君主とその民は、絆ではなく、罰によって互いに切れない関係を築いているのです。
卑怯もOK
君主たるもの、時として、勝つために手段を選ばないことも重要です。
公明正大であることは、確かに賞賛されることです。
しかし、何よりも勝つことが全てです。
人間は邪悪なもので、いつ裏切るかわからない。
ので、早い者勝ちです。
これは、現代の組織でも同じことがいえると思います。
例えば、学校の部活動。
テニスや卓球、剣道や柔道といった個人競技が主なスポーツで団体戦を行うとき、大抵、後ろに行けば行くほど、強くなるというのが常識です。
ただ現在では、例えば5人制の場合、「はじめ(先鋒)」と「中間(中堅)」と「最後(大将)」に強い人をおくのが定石であり、暗黙の了解となっています。
ですが、もし勝利にこだわるなら、上記の三つは捨てて、「2番目(次鋒)」と「4番目(副将)」で勝ち星を狙う方が勝率は上昇するはずです。
にもかかわらず、誰もこれをしない。
暗黙の了解を無視し、ルールすれすれをやる。
そんな勇気も、時には、リーダーに必要なことです。
評価は無視
君主たるもの、周りの評価にこだわってはなりません。
民の評価を重視すれば、結果を出すことよりも、プロセスを重んじるようになります。そして結果、結果がでず、評価が散々になる。
に対し、たとえ君主が非人道的でも、結果さえ出れば、民は何も言いません。
むしろ「我らの君主様はなんて素晴らしいんだ」と評価が後からついてくることでしょう。
評価は後からついてくる。
Don’t forget !
おわり
本書では、「自分の運命の半分はコントロールできる」という事柄が書かれています。
本書が書かれた16世紀は、運命は神によって決められる、と考えられてきました。
しかし、著者のマキャベリは、この「神中心主義」から「人間中心主義」へ、考え方をシフトさせました。
運命の半分はコントロールできる。
だから、全てを神に依存し、諦めたり、綺麗事ばかりいうべきではない。
私たちは、最大限あがくべきだ!
人は生きていれば、それなりに辛い目にも遭います。
それはどんな暮らしをしてたって同じことです。
しかし、人はそんな辛さから目を逸らし、神に懇願し、ロビンフッドを待ち望みます。
でも、本当にこれで良いのでしょうか。
人生はいつだって、激動です。
人は、それぞれの人生の中で、激動の流れを生きているのです。
そんな時、都合よく悲劇のヒロインを演じる暇があるなら、もっとあがくべきだ!
それが、本書がもっとも伝えたかったことではないかと思います。
ボーナストリビア:雪山の「寝たら死ぬぞ」は、嘘ぴょん!
先ほど、「人生はとにかく、死に物狂いであがくべきだ!」と書きました。
がしかし、時には、あがかないことが重要なこともあります。
例えば、雪山で遭難した時。
テレビドラマでよくある、カップルの雪山遭難事件。
なぜか毎回、山小屋に逃げ込めるという謎の幸運が舞い降りるあのイベント。
男は女に、「寝るな! 寝たら死ぬぞ!」と言う。
そんな胸キュンな男女のピンチ。視聴者の目もテレビに釘付けで、CMの続きが気になって気になって……。
しかし、ここで、現実トリビア。
もし本当に生存率を高めようとするなら、この行為は間違いです。
なぜなら、雪山で遭難した時、もっとも重要なのは、体力の確保だからです。
遭難から脱しようと無駄に動き回ってみたりしては、体力を消耗する一方です。
さらに、体が濡れていたりしたら最悪。低体温症になって、死へのカウントダウンが始まってしまいます。
そうならないためにすべきこと。それは、まず、体力の温存を心がけることです。
体力を温存するために、どうすればいいかをひたすら考えます。
例えば、山小屋があれば雪風が防げますので、最高です。
そうでない場合は、かまくらを作るのがおすすめです。
もしもの時に備え、男性たちは、かまくらの作り方を勉強しときましょう!
次に絶対に必要なのが、体温の確保です。
毛布や寝袋があるのなら天国です。
体温が下がらないように注意さえすれば、睡眠をとることでむしろ、体力を回復、生存率が高まるのです。
雪山にのぼる時には、ぜひ、前もって、最悪の事態に備えましょう!
また、ふつうの山でも遭難はあり得ます。
その時のためにも、火をつける技術も前もって勉強しときましょう!