「人間のふりをした悪魔」と呼ばれる科学者がいます。
「ジョン・フォン・ノイマン」です。
サイヤ人・ノイマン!
ハンガリー出身の、アメリカの数学者。
彼は20世紀の、数学・物理学・工学・計算機科学・経済学・気象学・心理学・政治学に大きな影響を与えました。
例えば……現代の「ハードウェアとソフトウェア」の概念を持ち込んだのも彼です。
例えば……「囚人のジレンマ」をはじめとする「ゲーム理論」を考えたのも彼です。(意外なことに、彼はポーカーがあまり得意ではなかったそうです)
例えば……気象予報に数値を持ち込み、地球温暖化を予想したのも彼です。
そして……原子爆弾の開発・使用に、何のためらいもなかったのも彼です。
ノイマンは、「京都への原爆投下」を主張します。「日本の戦意を完全に喪失させ、早期に終戦させる」のが、最良の手段だと考えたからです。
現代社会の基礎を作り、古き基礎をぶち壊した男、ジョン・フォン・ノイマン。
人々は彼の超人的な頭脳をこう呼びます。
「人間のフリをした悪魔」と。
ノイマンの意外な一面
そんな超人ノイマンですが、彼は、いわゆる天才肌の人間でした。
ノイマンが7歳の頃、フェンシングを習うことになりました。しかし、ノイマンは全く上達しません。「あの子はムリ!」と先生も匙を投げてしまうほどでした。
次に、ピアノとチェロを習いますが。それも全く上達しません。というのも、彼はレッスンの最中に、譜面の裏に歴史や数学の本を隠して読んでいたからです。
ただ、そんなノイマンには、非凡な才能がありました。
勉強です。
ノイマンは、幼少期から英才教育を受けており、ラテン語やギリシャ語を学習し、父親と、古典ギリシャ語でジョークを言えるほどになります。
また、歴史の本や、ゲーテ、ディケンズの小説をなどを一字一句間違えずに暗唱することもできたそうです。
そんな彼の読書中毒加減は日常生活にも支障をきたすほどでした。
ふつう、重度の読書家は、歩きながら本を読みます。しかしノイマンは、車を運転しながら読書するような人物でした。
そんな彼ですが、数学の能力もずば抜けていました。
6歳、ノイマンは、7桁から8桁の掛け算を筆算で行います。
8歳、ノイマンは、微分・積分をマスターします。
そして、11歳。ノイマンは、「アウグスト信仰の福音学校」へ入学します。そこでとある先生はこう言ったのです。
「ご子息に普通の数学を教えるのはもったいないし、罪悪とすらいえるでしょう。もしもご異存がなければ、私どもの責任でご子息にもっと高度な数学を学べるように手配いたします」
というように、まさにノイマンは、「天才」といういうにふさわしい人物だったのです。
うるさい方が良い、ノイマン!
現在、一般的には、集中する時にベストなのは「無音」だと言われています。
好きな音楽を聴くことはもちろん、カフェや図書館などちょっとした雑音のする場所も、あまり好ましくないのだとか。
一方で、「適度な雑音」があった方が集中できるという研究もあります。
周りのざわめきや自然の音、ヒーリングミュージックなんかも集中力向上に適していると。
つまり、「無音」もしくは「適度な雑音」が、集中力において良い、というのが現代の研究結果です。
ですが、ノイマンを集中たら占める場所は、そのどちらでもありませんでした。
彼は、うるさい場所が大好きだったのです。ペンと紙を持ち、わざわざナイトクラブに出かけるほどでした。
ノイマンの妻も、「うるさければうるさいほど、彼には良いのです」と、言っています。
静かな場所はむしろ退屈を感じるタチで、大学の研究室でも音楽を爆音で流していました。(隣にいた教授、アルベルト・アインシュタインは激怒して抗議しにきたそうです)
いかなる研究でも、「うるさい」ところが勉強には最適!、などと謳っているものはありません。
そもそも、当たり前すぎて、そのことを研究しようなどと考えている者がいないのです。
現に多くの人々は、「うるさい」はダメ!、と思い込んでいます。
ぼくたちが普段、そうすべきだ、と思っている事象は果たして本当にそうあるべきなのか。
人生、統計の結果だけが全てではありません。
自分に合った、自分だけのスタイルを見つける。
そんな自分自身の研究を、我々はもっとすべきなのかもしれません。