【カンプラード】IKEAがIKEAであるわけ

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行動経済学にはもともと「人間はどうして誘惑に負けてしまうのか」というテーマがあります。

また研究のなかには、「欲求を我慢できる人」ほど所得水準が高い、という研究結果もあります。

もちろん所得水準の高い人がすべて、欲求を我慢できる人というわけではありません。

しかし、さまざまな欲求に負けず、禁欲的に生き抜いてきた人ほど、社会的に高い地位につき、多くの資産を築いていているケースが多いのは事実です。

また、本当のお金持ちは、毎日フォアグラを食べないし、フェラーリを乗り回したりしない、というのもよく聞く話です。

IKEAは安い!

「世界で生産されている木材の1%は、IKEAの家具に使用されている」と言われるIKEA。

一社の木材消費量としては驚異的な数字を叩き出しているそうです。

そんなIKEAの魅力は何と言っても、その「安さ」にあります。

『金儲けのレシピ』という本では、金儲けの仕組みの一つとして「客が作業する」というものが紹介されています。

自分で肉を焼き、お金を払う焼肉屋のように、IKEAも、お客さんに家具を組み立ててもらうことで、そこにかかるコスト分、値段を安くできているわけです。

またそのような製造コストだけでなく、保管や運搬、梱包にまで目を向け、コストカットに専念しています。

一方で「品質が悪い」「ゴミだ」と揶揄されることもあります。

しかし、IKEAはそういった高級志向のお客さんではなく、焼肉屋にくるような民主的な目線でのビジネスを展開しているのです。

社長は部下よりも庶民らしい!

そんなIKEAの創業者インクヴァル・カンプラードは、かなりの倹約家でした。

IKEAの製造から運搬までの、この無駄のない仕組みには、彼の性格が大きく反映されています。

カンプラードの出勤はいつも、電車です。憂鬱な満員電車に、皆と一緒に揺られているわけです。

オフィスの椅子は、30年以上使い、お茶を飲むときも、ティーバックは必ず2回使います。そんな彼に「エスプレッソマシーンを買いたいのですが……」と提案できる社員はいません。

レストランに行くと、塩と砂糖は小さな包みに入れて持ち帰えっていたそうです。もちろん、社員の皆さんは経費で食べるときも、一番安いメニューを注文していたに違いありません!

極端なまでに質素を極めた彼。

もちろん、家具はすべてIKEAで揃えています。

2007年の億万長者ランキングで、世界第7位(総資産額310億ドル)にランクインします。

ですが、彼の生活はずっと質素なままでした。

そんなカンプラードは、2018年、91歳でこの世を去ります。

ですが、彼の倹約の精神はその後も忘れさられることはありませんでした。

IKEAはずっと「節約」という概念を胸に、今日までずっと皆に愛される会社であり続けています。

彼は生前、こんな言葉を残しています。

「1000ドルの机を作ることは難しくないが、品質とデザインが優れる 50 ドルの机は、最高の企業だけが作ることができる」

彼はきっとこんなことを言いたかったのではないでしょうか。

「1000ドルの人生よりも、50ドルの人生の方がずっと、生きやすい」


お金はもちろん大事です。

かく言うぼくも、自分はお金の奴隷だし、お金を「ご主人様」といつも崇めています。

しかし、今ある環境、今持っているもの、今ある時間を大切にすることも同様に大切なことです。

アメリカ合衆国32代大統領、フランクリン・ルーズベルトは言いました。

「いまいる場所で、いま持っているもので、いまできることを!」



自分で作る50ドル人生。

それはきっと、他の何よりも「最高」です!




(参考文献)



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