[味見小説] 『化物語(上)』戦場ヶ原ひたぎ編 —— 「戦争を、しましょう」

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本日紹介するのは、僕が一番大好きな小説『化物語』です。

今回は本作品の僕が好きな文章を抜粋して参りたいと思います。

ただ少しボリューミーなので、2回にわけて紹介していきます。
(本記事では「戦場ヶ原ひたぎ」のお話。)

どうぞ皆さんもご一緒に、「物語」の世界へ!

あらすじ

この物語は、「幽霊」「怪異」「妖(あやかし)」「化け物」のお話です。

主人公の阿良々木暦(あららぎ・こよみ)は、高校2年の春休み、偶然、吸血鬼に出会います。
その吸血鬼は瀕死の状態で、人間の血を必要としていました。
阿良々木は、悩んだ末、その吸血鬼に血を与えることを決め、半分人間、半分吸血鬼の体になってしまいます。

そんな波瀾万丈な春休みを乗り越え、阿良々木は無事、高校三年生になります。

そして、5月8日、あるで出来事が起こります。

いつも通り、遅刻ギリギリの時間に階段を駆け登っていた阿良々木の元に一人の少女が降ってきたのです。

突然の出来事に、反射的に阿良々木はその少女を受け止めます。
と、その時、阿良々木はその少女の異変に気づきます。

その少女・戦場ヶ原(せんじょうがはら)ひたぎには、およそ「体重」と呼べるものがなかったのです。あまりに軽かった。

いつもクラスの片隅で本ばかり読み、体育の授業や校外学習に参加することもなく、声さえもほとんど聞いたことがない。クラスメイトからは「深窓の令嬢」と呼ばれている、戦場ヶ原ひたぎ。

阿良々木は、ある日、そんな彼女の、決して誰にも知られてはいけない秘密を知ってしまうのです。



と、ここから物語がどんどん展開していきます。

まだの方のはぜひ一度この先のストーリーをを考えてみてください。

きとその想像を遥かに超えてくるはずです!

試食タイム

さてさて、閑話休題ということで。
ここからは、アニメの次回予告、OP、EDのように、少しだけ物語の一部を味見していこうと思います。


僕が一番好きな場面をひとつ抜粋させて頂きます。

「こいつ呼ばわりはもやめて」戦場ヶ原は毅然とした声で言った。
「じゃあ、何て呼べばいいんだよ」
「戦場ヶ原さま」
「……」この女、正気か。
「……センジョウガハラサマ」
「カタカナ発言はいただけないわ。ちゃんと言いなさい」
「戦場ヶ原ちゃん」目を突かれた。
「失明するだろうが!」
「失言するからよ」
「なんだその等価交換は!?」
「銅四十グラム、亜鉛二十五グラム、ニッケル十五グラム、照れ隠し五グラムに悪意九十五グラムで、私の暴言は錬成されているわ」
「ほとんど悪意じゃねかよ!」
「ちなみに照れ隠しというのは嘘よ」
「一番抜けちゃいけない要素抜けちゃった!」
「うるさいわね。いい加減にしないとあなたのニックネームを生理痛にするわよ」
「投身モンのイジメだ!」
「何よ。文字通り生理現象なんだから、恥ずかしいことではないわ」
「悪意がある場合は別だろう!」

いやーいいですね。

僕この場面が大好きで、お風呂で毎日練習してました。
特に等価交換のあたりはたまりません!

お金と命

さて今回はもう一つ僕の好きなシーンを紹介したいと思います。

影を売った男 デンマークの昔話 <福娘童話集 きょうの新作昔話>

デンマークの昔話で、「影をなくした男」の物語があります。

ある日、ある男は、老人に「影」を売り、大金をもらいました。
男はとても喜びました。影なんかなくても困らない、不自由は何もないと思っていたのです。
しかし、影がないことにより、男は村の人々から恐れられるようになり、最終的に村を出ていくことになりました。
そんなお話です。

皆さんならどうしますか?影を売りますか?

ちなみに戦場ヶ原はこう答えました。
「別に——その状況になってみないと、わかりません。売るかもしれないし、売らないかもしれない。そんなの、値段次第ですし」

真理ですね。

いや、「真理の扉」といってもいいかもしれません。

これに対し、戦場ヶ原を救うのに助力してくれた「忍野メメ」は、次のように答えます。
「正しい答えだね。たとえば、命とお金どっちが大切なんだって質問があったりするけど、これは質問自体がおかしいよ。お金と一口に言っても、一円と一兆円じゃ、価値が違うんだし、命の価値だって、個々人によって平等じゃない。命は平等だなんて、それは僕が最も憎む、低俗な言葉だよ——」

多分、この世の全てのものは、お金で大体どうにかできると思います。

人の命もそうですし、人の信頼だって、お金で買おうと思ったら買えます。

「何が正解で何が間違いか」
これはただ単にその言葉の意味や定義によって決まるわけではなく、不変なものでもありません。

僕たちは、その都度その都度、その状況にあった選択をしていかなくてはなりません。

自分の子供に「年上を敬いなさい」と叱る親はいますが、
四十代後半のコンビニの店員が「ご来店ありがとうございました」と小学生に頭を下げている姿を見て、「敬いなさい」と叱る親はいません。

我々は結局、その場の状況で物事を考え、判断しなくてはならない。

「人は考える葦である」(パスカル)とはよくいったものです。

そんなことを考えさせてくれる一節でした。

おわり

後日談というか、今回のオチ。

僕は西尾維新さんの文章が大好きです。いや、恋をしていると言ってもいいかもしれない。

「物語シリーズ」だけでなく、『戯言シリーズ』や『忘却探偵シリーズ』など、ほとんど全ての作品を読みました。

『少女不十分』も最高でしたね。

どれも非常に面白かったですし、何度も読み返しては、セリフをノートにまとめるといった次第です。

本というのは不思議なもので、「、」や「。」、「使う言葉」や「言葉の使い方」などで、作者の呼吸が伝わってきます。

まるでその人と話してるみたいな感じです。

「この本、なんだか私の呼吸とあってる」と思ったことも、皆さん、あると思います。

そして、そういった本に惹かれたら、もう虜(とりこ)になってしまいます。そう、恋です。

コロナ禍で一人でいる時間が増えた今。いえ、今だけではありません。

これからの未来は、一人でいる時間が圧倒的に増えると思います。

ARやVRのように、4次元の世界へ出かけるのもかまみません。(失礼、噛みました)

ですが、たまに2次元の世界へ帰ってくるのもいいですよ。

きっと、そこには皆さんにとっての「恋」が待っているはずです。

「恋」。いいですよ。

フランスの哲学者、パスカルも言っています。「恋愛に年齢は関係ない。それはいつでも生まれる」と。

皆さんは今、何に恋しいますか?

さて、今回は100%趣味で書きました。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。