動機付けが、おろそか!
人のモチベーション要因には二種類あります。
一つは、「衛生要因」。
これは、職場の衛生環境だけでなく、ステータスや報酬なども含まれます。
もう一つは「動機付け要因」です。
これは、自己成長や使命感、やりがい、愛情などです。
企業は、「衛生要因」ばかりに目を配り、この「動機付け要因」は疎かになってしまっています。
経営は、衛生要因とともに、動機付け要因にも目を向けなくてはならないのです。
片付けなくてならないジョブ
あらゆる商品、サービスは、顧客の「片づけるべき用事」をこなすために存在します。
本を整理したいから本棚を買いに行き、人間関係の悩みを解消するためにカウンセラーに行きます。
しかし、我々は大抵、「商品」「サービス」だけで考えてしまい、顧客の「片づけるべきジョブ」を忘れがちになります。
これは、経営でも人間関係でも同じです。
まずは、お互いの片付けなくてはならないジョブを理解すること。
その後に、商品や解決案を出すのです。
おわり
「片づけるべき用事」を見つける。
言い換えれば、ゴールを設定してから、逆算的にスタートを考える。
私たちは、いつだって、視野狭窄です。
表ばかりにこだわり、裏を見ようとしません。
本書の著者、クリステンセンさんは、ハーバードの同期が卒業後、どんどん不幸になっていく姿を見て、本書を書きました。
確かに、どんな講座をとり、どんな成績を取り、どんな仕事に就いたかは重要です。
しかし、そんな選択をしても、将来100%幸せになるとは限りません。
得られるのは、いつだって、周りからの賞賛と、その瞬間の幸福感だけです。
自分の人生「片付けるべき用事」は何か。
そのことを考えてみてはいかがでしょうか。
ボーナストリビア:医者には二つの段階がある
『ブラックジャックによろしく』という漫画で、「医者には二つの段階がある」と書かれていました。
使命に燃え、理想を追う段階。そして、全てを諦めて目の前の患者だけを黙々と診療し続けていく段階です。
人の命を救う「お医者さん」になると漠然に描いた目標で、医学部に入ると、たくさんの苦難があります。
卒業するまでにかかる学費は、5〜6000万円。
6年間医学について学び、医師国家試験に合格しても、その後、2年間、地獄の研修が待っています。
研修の平均労働時間は16時間。
月給はなんと、3万8千円。日給ではなく、月給です。
そんな給料で、寮も食事もなし。
そんなブラック環境にいる研修医は、当直バイトをする。
夜間は給料が高く、一回で8万円ももらえるから。
でも、いざ交通事故などで、患者が運び込まれたら、研修医の自分が執刀しなくてはならない。
(※全国79の大学附属病院に対するアンケートによると研修医のアルバイトが禁止されているのは、全体の2%。アルバイトに出た研修医の80%が単独診療を経験しています。しかも、単独診療を経験した研修医の実に90%が不安を抱えながら、診療をしている)
「死にたくなければ、夜間に車に乗ってはいけない」
これが日本の医療、お医者さんの現実です。
このような状況に落ちってしまうのは、お医者さんの数が足りないからです。
正確には、「一つの病院にいる医者の数が足りない」ことが原因です。
日本には24万人の医者がいます。(『ブラックジャックによろしく』より)
人口500人に対し、1人の医者がつける状態です。
にもかかわらず、医者の数が足りない。
なぜなら、病院の数が多すぎるからです。
日本は医者の数も多いですが、それ以上に、病院の数がべらぼうに多いのです。
そのため、一つの病院あたりの医者の数が極めて少なくなってしまいます。
どんなに頑張っても、少数精鋭の人たちだけで、24時間、完璧な医療を展開することは不可能です。
夜中に、急患で運び込まれても、何もすることができない。
ですので、もし本当の意味で、「多くの人を救いたい」という目標を持つであれば、「お医者さんになる」という選択は不正解と言えます。
本当の意味で「片付けたいジョブ」は、「多くの人を救いたい」ではなく、「お医者さん」という「肩書き」を得ることなのではないでしょうか。
難しい問題ですね。