「オス♂という生き物」—— なぜ我々は一夫一婦制なのか

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今回は、なぜ我々人類は「一夫一婦制」の形態をとるようになったのか、について考えていこうと思います。

僕は小学生の頃からずっと、一夫多妻制でも、てか、そんなの個人の自由でいいのではないか、と思っていました。

ですが、そういうわけにはいかないようです。

人類がここまで繁栄、いや、生きてこれたのは、この「一夫一婦制」があったからかもしれません。

今回はそんなお話です。

(参考文献)

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「オス」という生き物

みなさんもお気づきだと思いますが、オスという生き物は、たいてい「交尾」のことばかり考えています。

生物は、元来、生きていくために、生き抜くためにさまざまな進化を遂げ、そして努力してきました。

しかし、オスは、時に、その「生きる」という最優先事項を忘れ、「モテたい」「交尾したい」という欲求のままに進化を遂げてしまいます。

例えば、あの、緑色の羽根に、まるで青と黒の目玉が何個もついているような生物、孔雀(くじゃく)。

孔雀は、派手な尻尾を持っている方が、モテます。

オスは、「モテたい」「交尾したい」という欲求があまりに強すぎるために、羽根をどんどん派手になるように進化を遂げました。

もちろん、この進化によって、「モテる」という目標は達成できました。
しかし問題は、それが、「天敵に発見されやすい」「飛びにくい」といったことです。

孔雀は、例え、死ぬ危険を犯してまでも、「モテたい」「交尾したい」という欲求を求めたのです。

人間も他人事ではない

オスの「モテたい」「交尾したい」という、欲求は当然、人間にも当てはまります。

アメリカのプリンストン大学の研究で、
男性に、ある魅力的な女性の裸の写真をみせ、その後の脳機能について調べた実験があります。

その結果は、男性の脳機能は、非常に低下していることがわかりました。

相手の表情から気持ちを汲み取り、人間関係を円滑に保つ、中枢の働きが劇的に低下していたのです。

男性は、大好きな女性を前にすると、相手の気持ちがわからず、熱烈にアプローチをしてしまいます。

そして残念なことに、そのことに自分で認識することは非常に困難です。

(男性ホルモンの一種である、テストステロンが多い人ほど、この傾向が強いそうです。)

※テストステロン……行動力や、集中力を高めたり空間を認知する力につながる(車の運転が上手くなる)。その一方で、衝動的・暴力的になったり、他人に共感できなかったり、細かいミスをしたりするというデメリットもある。

なぜ一夫一婦制なのか

今の我々にとって「一夫一婦制」は当然のように思われるかもしれません。

しかし、哺乳類全体で見るとむしろ、人類が少数派なのです。

哺乳類の約95%が「一夫多妻制」の形態をとっています。

ではなぜ、我々人類は、「一夫一婦制」なのでしょうか。

その原因の一つとして、「子殺し回避説」があります。

みなさんは、『猿の惑星』という映画を見たことがあるでしょうか。

猿の世界では、一夫多妻制が当たり前で、強いボスザルが、何匹の雌猿に自分の子供を産ませます。猿はそうやって、自分の縄張りを築いていくのです。

しかし、これには大きな問題があります。

それは、ボスザルのポジションが入れ替わる時です。

他の縄張りからの侵略や、下克上などで、ボスザルの地位が入れ替わった時、以前のボスザルの子供たちは、全員殺されてしまいます。

そのようなことが人間の世界で起こるはずがないと思われるかもしれません。

しかし、霊長類は特に、「子殺し」が多い種族でした。

今現在でも、50種類以上の霊長類で「子殺し」が確認されています。

今のこの平和な世の中があるのは、「一夫多妻制」のおかげなのかもしれません。

最後に

もし、今の人間社会で「一夫多妻制」を組み入れたらどうなるか。

「力」「暴力」こそがもっとも重要視される世の中になるのかもしれません。

我々は、日々、近所の屈強そうな男性から、目をつけられないようにと、息を潜めて、暮らすようになるのかもしれません。

日本に「一夫一婦制」が入ってきたのは、江戸時代、キリスト教伝来の頃だと言われています。

もし日本がまだ、「一夫多妻制」の形態を取り続けていたら、我々の向かう「戦地」は、「会社」ではなく、本当の「戦場」だったかもしれません。

(参考文献)

残念な「オス」という生き物 Forest2545新書

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