【情報に踊らされる私たち】そのテータは本当に本当なのか?

知識
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自己啓発本を開くと、そこにはさまざまなアクティブプランが書かれています。

中でも人気なのが「目標を紙に書き出せ!」というやつです。

科学的なエビデンス

「目標を紙に書き出すと、叶う確率が格段に上がる」というのは、科学的なエビデンスに基づいてよく取り上げられる事柄です。

中でも、イエール大学によって行われ調査が、根拠としてよく取り上げられます。

20年に渡る調査で、目標を紙に書き出した人はそうでない人に比べ、20倍もの資産を手にしたという調査です。

この調査によって、多くの自己啓発本やYouTuberは、「目標を紙に書き出せ!」「〇〇をすれば人生が変わる!」などと謳います。

エビデンスはウソ

ただ実際、このイエール大学の調査は、この世に存在しません。

どんなに調べても、その根拠となる論文や文献はなく、あるのは「イエール大学の調査によると……」という文言だけです。

また、イギリスのジャーナリストがイエール大学の教員にインタビューをしたところ、「そのような研究はない」と答えたそうです。

私たちは、存在しない嘘の情報にずっと踊らされていたのです。

権威アピール

学者の世界では、相手が間違っていることを証明するための壮絶な戦いが昼夜、行われています。

中でも、ドイツのアルトゥール・ショーペンハウエルは相手を言い負かす術をよく心得ていました。

そんな彼の論破テクの一つが「理性ではなく権威にアピールする」というものです。

「アインシュタイン曰く——」「古代ユダヤ人は言いました——」と言ったように、権威のある人たちの言動を引き合いに出すことで、自分の主張を最もらしく見せる手法です。

やっていることは、ただ昔の人の言葉をリピートしているだけですが、傍目からはインテリのような目で見られます。

能動的に動き続ける

「〇〇大学の研究によると——」という言葉も同様です。

大半の人は、「権威アピール手法」を使われても、それが本当に正しいのか、どうかを確かめようとはしません。

「こんな話をする人は頭がいいんだから、絶対に正しい」と考えてしまうのです。

「ソクラテス言いました。『この世に限りがないのは、宇宙と人間の愚かさだけだ』」

と、アインシュタインが言った言葉をソクラテスに置き換えても、誰も気が付きませんし、「なるほどぉー」と納得するだけです。

図書館に行かずとも情報が簡単に手に入れられるようになったのに、そのエビデンスが正しいかどうか検証しなくなったのが、現代の私たちです。

言葉は絶大な力があります。

人の話を聞いたり、本を読んだり、映画を見たり。

日常の至る所で発せられる言葉に、まったく影響を受けずにいることは、不可能です。

人が発する言葉には、それが善だろうと悪だろうと、正しかろうと間違っていようと、絶大なパワーがあります。

そのパワーに打ち勝つには、しっかりとした知識を自ら能動的に学ぶ必要があります。

「小さい頃に親から教わったことが、実は間違っていた」ということは多々あると思います。

何も知らないとは、船にも乗らず、ミシシッピを渡るようなものです。

無知ほど危険なものはありません。

自ら学び自ら動く。

それこそが自己を啓発するということです。

「自ら動く」。この姿勢を忘れないようにしましょう!



おまけ:アルトゥール・ショーペンハウエル

学者の世界では、正しい主張をしているのに、議論で負け、間違いとされることがよくあるそうです。

またたとえ、自分の主張が正しいとされても、論破されれば、ストレスを感じたり、恥をかいたりと言ったことが起こります。

学者にとって、自分の主張が正しく、相手が間違っていると証明するための「論破テク」はとても重要なスキルなのです。

そんなディベート大会で、相手を言いまかす術をたくさん持っていたのが、アルトゥール・ショーペンハウエルです。

彼はドイツの哲学者で、実存主義の先駆けと言われ、あのニーチェにも影響を与えた人物です。

彼は用心深い性格で、相手を言い負かすためのテクだけでなく、自分が追い詰められた時の逃れる方法や、相手をただ困らせるだけの詭弁なども用意していました。

1.相手の意見を利用(見かけ上、勝ったように見せかける)
 相手が「あり金ぜんぶ使え」と言ってきたら、「では、あなたはなぜ使わないのですか?」と言う

2.相手の主張の拡大(話題を逸らす)
 「——という理由から君は間違っているのでは?」に対し、「それは私の人格が間違っている、ということですか?」と返す。

3.相手の主張のカテゴライズ(相手の偏見に訴える)
 これはひろゆきさん、あるあるですね。「それは、『唯物論』ですね」と言う感じ。

4.論争を邪魔し話題転換(負けを認めず土俵を変える)
 「話がこんがらがってきたね。一度もどうそう」と言った感じです。

5.相手の人格を攻撃(相手の信頼度を下げる)
 これはリーガルドラマあるあるです。「あなたも昔、汚職に手を染めていましたね?」と言ったやつです。

「議論に勝つ最善の方法は議論をしないこと」というデール・カーネギーの言葉にもある通り、他人とはなるべく言い争いをしないことがベストです。

ですが、もし避けられない時は、今回紹介した知識が役立てば、幸いです。



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