人間には、正しいことをした後、少し悪いことをしたくなる性質が備わっています。
これを「モラル・ライセンシング」と言います。
モラル・ライセンシング
私たちは、正しいことをすると、誘惑に弱くなります。
「頑張ったんだから、ちょっとくらい」と考え、自分をどんどん甘やかしてしまうのです。
これをノーベル賞を受賞した心理学者のダニエル・カーネマンは、「モラル・ライセンシング」と提唱しました。
モラル・ライセンシングの怖いところは、「勘違い」です。
「正しいこと」と思っただけで、実際その行為が正しくなくても、誘惑に弱くなってしまうのです。
TVのコマーシャル
このモラル・ライセンシングをマーケティングに使ったのが、CMです。
ニュース番組の合間に流れるCMは大抵、消費財です。
惨殺な殺人事件や、非道な誘拐事件などの後に、平気で商品のCMをオンエアします。
これは、モラル・ライセンシング効果の一種で、重たいニュース・正しいニュースが流れると、人は誘惑に弱くなる傾向があるのを利用しているのです。
ニュースを見て、心を痛めたりすると、ちょっとくらい羽目を外しても良い、という気持ちになり、気晴らしに商品を買いたくなるのです。
努力逆転の法則
「モラル・ライセンシング」と似ているのが、「努力逆転の法則」です。
無理に我慢や節約などをすると、かえってムダ遣いや、ご褒美が増えてしまう、という法則です。
我慢や、無理な努力は、逆に負のスパイラルを呼び寄せてしまうのです。
「正しいから」をやめる!
では、「モラル・ライセンシング」や「努力逆転の法則」に陥らないようにするにはどうしたら良いのでしょうか。
それは、自分の行動理由を「正しいから」以外のものにすれば良いのです。
「正しいから」ではなく、「楽しいから」「好きだから」「得意だから」「喜ぶから」「気分が昂るから」などなど、自分の行動理由を変えることで、上記の心理効果をなくすことができます。
また、逆にマーケティングなどで、顧客を呼び寄せたいなら、相手の行動理由を「正しいから」という方向へ傾けるように工夫してあげれば、うまい具合に、儲けることができます。
悪用厳禁で、よろしくお願いします!
(参考文献)