我々の脳には、あらかじめ用意された「文法」があります。
それを言語学者のノーム・チョムスキー氏は、「メンタル文法」と名づけました。
聞きたいことしか聞かない私たち
大抵の人たちは、他人を話を聞いていれるようで、大して聞いていません。
人の話を100%理解することはおろか、聞くことさえできないのです。
なぜなら「メンタル文法」というフィルターがかかっているからです。
メンタル文法は、自分の思考を言語化、文法化したものです。
例えば、就職ではなく、起業しようとしている大学生がいたとします。
その学生が、ふつうに就職しようと考えている学生に対し、自分の起業についての話をしても、理解されることはありません。
なぜなら、2人の持っている「メンタル文法」が異なっているからです。
起業しようと考えている人の根底には、「やってみなければわからない」というチャレンジ精神があります。
一方、今の地位や、生活の安定を意識している人は、彼の話が「理解できない」「意味がわからない」と言ったように感じてしまうのです。
剣道にやったことがない人に、面付けている時、コートの中にいるときの孤独感を説明しても、理解することはできません。
宇宙について考えていない人に、火星の素晴らしさを説明しても何も伝わりません。
哲学に興味がない人にとって、プラトンの話は退屈なものでしかありません。
人は、自分の中で築かれた文法によって、言葉を理解し、会話をしているのです。
メンタル文法による害
物事がうまくいっている時、誰に何を言われても都合よく解釈する時があります。
運気がこっちに向いてると考え、嫌味も褒め言葉のように感じるのです。
このような時は、例えば、宝くじを買い、それが外れたとしても、「自分は宝くじを買うことで、経済を回した」と言ったような思考になるわけです。
一方で、「全てうまくいっていない」「なにもかもが最悪だ」と感じる時もあります。
どんなことを言われても、それを悪い方にばかり捉え、過去を強く悔いたりもします。
これらの現象は全て「メンタル文法」が関係しています。
我々は気づかないうちに、いろいろな場面でいろいろなメンタル文法を作り出しています。
それが、プラスに働くこともあれば、マイナスに働くこともあります。
成功者の話を聞いて、「なるほど!私も頑張ろう!」と思える人もいれば、「それはあなただからできたことでしょ!」と考える人もいます。
これも全て「メンタル文法」によるものなのです。
メンタル文法が今のあなたを作る
このようなメンタル文法は、日頃からの積み重ねによって成り立ちます。
毎日の行動や、使う言葉がその人のメンタル文法を形作るのです。
ですので、自分がプラスに感じる文字を書いたり、言葉を発したりすることは非常に効果のあることです。
ボランティア活動や、困っている人を助けると言った行動も、「メンタル文法」を好転させる良い手段です。
今の自分をどう感じているか。
他人の話を聞いてどう感じるか。
日々の小さな考え、行動があなたの「メンタリ文法」を形作ります。
ぜひ、今日からの使う言葉を意識し、相手の話に耳を傾けてみてください。
(参考文献)