最悪の命令
いかなる手を尽くしても、子供の数が減らないことに、業を煮やしたファラオ。
そこで、新たな命令を出します。
それは、「イスラエル人の男の子はみんなナイル川に放り込め」というものです。
今度こそ、イスラエルの民たちは、大ピンチです。
この命令により、エジプト軍の兵士が巡回し、赤ん坊の泣き声が聞こえたら、家に入り込み、男の子かどうか確かめるようになりました。
これまで命令とは異なり、抜け穴がありません。
残った手段は、鳴き声を上げさせないようにしたり、隠して育てたりするほかはありませんでした。
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その頃、ヨケベドというイスラエル人の母親が男の子を産みました。
しかし、兵士の巡回はますます厳しくなる一方で、自分で育てることはできません。
そう思ったヨケベドは、一縷の望みをかけ、赤ん坊を籠に入れ、夜中、ナイル川の岸辺に籠を置きました。
朝。
赤ん坊の姉・ミリアムが、籠を見張っていると、立派な服装の女性がやってくるのが見えました。
ファラオの王女です。
ミリアムは、王女が岸辺で水浴びするのを見計らって、籠を川へと流しました。
王女は、水の中から泣き声が聞こえると気づき、侍女に命じて籠をとって来させました。
すると中では、とても可愛らしい赤ちゃんが、うぎゃーうぎゃーと、泣いていました。
王女は言います。
「こんな所に捨てられるなんて。……わたしの子どもにしたいわ」
「そうよ、父上もわたしのしていることを止めないはず!私、この子を育てるわ!」
と、その時を見計らって、ミリアムは王女の前に歩み寄りした。
「王女様、よろしいでしょうか」
奴隷が王女に声をかけるなど、万死に値することでした。
しかし、聡明な王女はすぐにこの者が、赤ん坊の肉親である気付き、話を聞きます。
「赤ん坊を育てるには、乳母が必要です。わたしはその乳母にぴったりの女性を知っております。その者を呼んできても良いでしょうか」
王女は思案し、そして全てを理解しました。
つまり、その女性が、この子の母親だということです。
女王は、ミリアムの案を承諾し、その者に乳母をしてもらうことにしました。
おわり
そうして、赤ん坊は実の母親ヨケベドの元で、育てられることになりました。
イスラエルには、5歳まで母乳を与える習慣があります。ですので、赤ん坊は5歳になるまで、実母の手によって、温かく育てられました。
そして、乳離れした赤ん坊は、王女の元へと連れてこられました。
王女は彼に名前を与えました。
「モーセ」と。
ボーナストリビア:ハロウィンのガチ話
最近、『梨泰院クラス』を見ていたら、ハロウィンのエピソードがありました。
興味を持って、色々調べたので、今回はそれを紹介します。
現代、「ハロウィンは、キリスト教のあらゆる聖人を祝福する万聖節の前夜祭」と、されています。
そのため、皆さんも、笑顔で「ハッピーハロウィン!」と叫んでいるわけです。
しかし、元々は、もっとダークな催しだったことをご存じでしょうか。
なんと、ハロウィンは悪い霊から逃れる祭りだったのです。
『梨泰院クラス』では、「死人の魂を慰めて、悪霊を追い払うお祭り」で「悪霊がもたらす災いから身を守るため、自分達も悪霊に見えるように仮装する」のがハロウィンだと紹介されています。
本来、ハロウィンはヨーロッパ先住民「ケルト人」の祭りでした。
ケルト人にとって、 11月 1日は、 1年間の収穫を神に感謝する「新年の第 1日目」にあたる日です。
しかし、その前日には死者の霊がやってくる日とされていました。
そのため、子どもには、お化けに変装をさせるなどして、悪い霊を近づけないようにする必要があったのです。
こうした風習がキリスト教に取り入れられ、今のハロウィンとして、世界各地に広がっていったのです。
ハロウィンは10月31日です。もう今月ですね。
ハッピーハロウィン!
(参考)