本日は、北欧神話シリーズ第二弾ということで、「神話の始まり」について取り上げます。
北欧神話の設定
北欧神話には大きく、3つの氏族が存在します。「アース神族」「ヴァン神族」「ヨトゥン(巨人)」です。
それぞれの特徴は、「秩序」を持つ神族と、「混沌」の巨人族、といった感じです。北欧神話は、この、それぞれの考え方の違いや、守るものために、戦いが起こります。
ではそもそも、これらの起源はなんだったのでしょうか。
火と氷
北欧神話の世界は、「火と氷」から始まります。
まず、火と氷によって、雌牛と巨人ユミルが創りだされます。
雌牛が舐めた「塩の氷」から、最初の神「ブーリ」が生まれました。一方、ユミルは、3人の巨人を生み出しました。
それから、ブーリと巨人が交わって生まれた神が「ボル」。さらに、そのボルから「オーディン」「ヴィリ」「ヴェー」が生まれました。
※北欧神話が広まった北欧は、豪雪に閉ざされた厳しい自然環境でした。そんな環境であったことが、「火と氷しかない世界観」という厳しい世界観を作り出したと考えられます。
ユミルの嫉妬
しかし、ここで、事件が起こります。
ユミルは当時、牛の乳を飲んで生活し、周りには巨人がいる、という環境下で生活していました。
しかし、そこに急遽、美しい姿をしたブーリが現れたのです。
ユミルは、この時はじめて嫉妬という感情を覚えました。そして、どうしたらいいかわからなくなったユミルは、ブーリを殺してしまいます。
ユミル殺害
すると今度、自分の祖父を殺したユミルに復讐心を抱く3人が現れます。「オーディン」「ヴィリ」「ヴェー」です。
また、彼らは、復讐だけでなく、暴虐の限りを尽くす巨人たちにも辟易していました。
以上のことを考え、これから神々が世界を作る上で、仇であり、巨人の始祖であるユミルは邪魔であると考えました。
そこでついに、オーディンたちは、ユミルを殺害しました。
するとそれに付随して、ユミルの傷口から大量の血が流れ、全ての巨人を溺死させてしまったのでした。
(この時実は、男と女の人組の巨人が生き残っており、再び巨人族が復活する)
ユミルの体
ユミルの殺害によって得た恩恵は、「血の洪水」だけではありませんでした。
神々は、ユミルの体を解体することで、世界を作り出したのです。
●血液→海川湖
●肉塊→大地
●骨→山
●歯・あご・こなごなになった骨→岩・玉石・小石
●頭蓋骨→天空
●脳みそ→雲
●まつ毛→柵(※ボーナストリビア)
おわり
その後も、隕石を、星や太陽、月にしたりと、神々による宇宙制作は続きました。
また、オーディンたちは自身(アース神族)が暮らす領域として、“アスガルド”を天上に作りました。
他方、生き残った巨人たちは、海で隔てた彼方に追いやってしまいます。
そして、こうして作り出した宇宙の製造物を、**“ユグドラシル(世界樹)”**という巨大な木で、包み込んだのでした。
ボーナストリビア:人間は、テキトーに作られた?
宇宙や世界を作り出したのが、オーディンたちなら、その後人間を作り出したのもまた神々たちです。
では、神々は、どうやって人間を作ったのでしょうか?
実は、オーディンが海辺を歩いていた時に、たまたま拾った2本の木が人間の起源とされているのです。
もちろん、オーディンたちは人間が生息する場所も用意します。それは、人間の国”ミッドガルド”です。
これはまるで、人間が動物を飼うのに、ペットハウスを作るようなものです。
さらにオーディンは、巨人からの攻撃を防ぐために、ミッドガルドに柵を作りました。
この柵の原料は、ユミルのまつ毛(※)とされています。
(参考文献)