今回からは、「出エジプト記」の物語となります。
何も知らない王様
時は流れ、宰相ヨセフが亡くなりました。
この時、イスラエルには多くの子どもが生まれ、エジプトの中でも大きな民族となっていました。
そして、数100年後、新たなファラオ(王様)が登場しました。
ただこのファラオは、少し不勉強なところがありました。これまでの歴史や、国の成り立ち、財政などについて、何も知らなかったのです。
当然、ヨセフの功績はもちろん、名前さえも知りません。
そんな不勉強な王様ですから、あらぬことを考えてしまいます。
それは、「民をみんな奴隷にする」というものです。
ファラオは、生き生きとしているイスラエル民族を見て、喜びではなく、脅威を感じました。
「彼らはいずれ、余に叛逆する」と感じたのです。
そこで、イスラエル人は全員奴隷とせよ、という命令を出しました。
民よ、弱くなれ!
奴隷制度によって、イスラエルの民は強制労働に服し、ピラミッドのような建造物を作るために働かされます。
ファラオの頭では、彼らを奴隷にすれば、イスラエルの出生率は下がり、民はどんどん弱っていく、ということを考えていました。
しかし、その予想は真逆でした。
イスラエルの人口は増える一方だったのです。
どうしようもない王様
思い通りにいかない状況に、ファラオは、再び作戦を立てます。
今度は、ヤレドット(助産師) 達に、「イスラエル人に男が生まれたら、死産という事にして殺せ」と命じました。 しかし、ヤレドットは、神を敬う人達でしたのて、人の命をぞんざいには扱えません。
そこで、彼女たちは、ファラオの命令を破り、男の子も生かしておきました。
一方、全然民が減らない状況に対し、ファラオは怒り、ヤレドット達を呼び出しました。 「なぜだ? なぜ、イスラエル人の人口は増えている?」
ヤレドット達は答えました。
「イスラエル人の母親達が、わたし達の助けを必要としないからです。
お産が始まり、わたし達が呼ばれるころには、彼女たちが自分の力で、既に産んでしまっているのです。ですから、手出しができません」
おわり
神を信じ続けたヤレドットたちは、神に祝福され、多くの子供達に恵まれたのでした。
次回は、ファラオがさらに非道な命令を下します。なんと「男の子は全員、ナイル川に放り込め」というのです。
そして、そんな最悪の時期に生まれたのが「十戒」で有名なモーセです。
お楽しみに!
ボーナストリビア:純潔のウエディングドレス
本日は、王様にまつわる嫌な話だったので、ここでは、女王様にまつわるいいお話を紹介します。
皆さんは、ウエディングドレスが「白」になったきっかけをご存知でしょうか?
私たちの多くは、「ウエディングドレス」と聞くと「白」をイメージすると思います。
その理由について考えたことがありますでしょうか?
時は、 1840年、イギリスのビクトリア女王の時代まで遡ります。
ビクトリア女王は、アルバート公と結婚式を挙げます。そして、その際、女王が身にまとったのが、白サテンのドレスとレースのベールでした。
それまでの婚礼衣装には決まった色はありませんでした。
しかし、子宝に恵まれて理想の家庭を築いた女王が現れたことで、それにあやかろうと、上・中流階級の女性たちはこぞって女王の真似をしたというわけです。
こうして、白いウエディングドレスは「純潔」の象徴となり、 19世紀後半にはイギリスの庶民に、戦後の高度経済成長時代には日本に、と伝わったのでした。
(参考)