ナナミの作戦
仕事が終わって帰ってきたルツに、ナナミは言いました。
「いい相手を見つけたわ」
「え、私、結婚なんて……」
「心配ないわ。律法によると、夫がいなくなった場合、女は、親族と結婚して、父親の土地を受け継ぐ責任があるの。だから——」
「え……それって……もしかして」
「そう、ボアズさんよ。とりあえず今夜、ボアズさんを訪ねてきなさい」
作戦実行
急展開にあたふたしながらも、ルツは、お母様の言いつけどおりの方法で、ボアズさんに迫ることにしました。
まずは、収穫を終えた麦の束の上で寝ているボアズに、そっと近づきます。
そして、布団の中に潜り込み、ボアズの足元で横になる。
これで準備OK。
いきなりのプロポーズ
夜中、変な気配を感じたボアズは、起き上がり、足元を見ます。
するとそのには、女性が寝ていました。
「誰だ!」
ボアズが叫ぶと、足元から女性の声がします。
「ボアズ様、私です。ルツです。あなたは、私とその家を絶やさないようにする責任があります。ですので、どうかこのまま……」
ボアズは、いきなりの出来事に、頭を悩ませました。
しかし、しばらく考えると、
「わかった。お前の願いを叶えよう。確かにわたしにはその責任がある。ただ、わたしにも同じように、親族がいる。わたしは彼らと話し合わなければならない。だから、今日のところは、帰ってくれないか? 誰かに見られるといけない」
おわり
ルツが家に帰り、ことの顛末をナナミに伝えると、ナオミは安心して言いました。 「よし、順調よ。あとは、ボアズが出す結論を待つだけよ」
こうして、ルツのプロポーズ作戦は始まりました。
ボーナストリビア:エジソンのプロポーズ
プロポーズといえば、みなさんは、エジソンが二番目の妻にしたプロポーズをご存知でしょうか?
その方法は、電球を発明した、彼ならではのプロポーズでした。
アメリカの発明王、エジソンは、38歳にして、妻メアリーを病気で亡くしました。
そして、その半年後、知り合いに女性を紹介して欲しい、と頼み、18歳のミラーという女性に出会いました。
その女性に魅了されたエジソンは、なんと夏の終わり、ある方法で彼女にプローポーズをしました。
それの方法とはズバリ、「モールス信号」です。
エジソンは彼女の手のひらに、モールス信号でプロポーズしたのです。
そして、この告白に対し、ミラーは顔を赤らめながら「はい」と返事をし、めでたく結ばれたといいます。
以上、発明王の、ロマンチックなようにも、意気地なしのようにも思えるお話でした。
(参考)