恋するサムソン
数年が経ち、青年になったサムソン。
彼はこの時、「ティムナ」という町に住むペリシテ人の女性に恋をしました。
当時の背景として、イスラエルは、ペリシテに支配されていました。そのため、イスラエルと同居する形で、あっちこっちにペリシテ人も住んでいたのです。
そして、サムソンは、そんなペリシテ人の女性に対する気持ちを両親に告げました。
しかし、すんなりとは受けいれられず、両親は大反対します。
ただ、サムソンは、それでも諦めきれず、なんとか、その女性と結婚しようと奮闘していました。
隠された力
そんなある日のこと。
サムソンは、意中の女性が、一頭のライオンに襲われそうになっているところに遭遇します。
駆けつけたサムソンは、動じることなく、ライオンを抑えたつけたうえで、その口を両手で開き、真っ二つに引き裂いてしまいました。
これが、サムソンが神から与えられた「怪力」の能力を自覚する、最初の出来事でした。
結婚式
そして、そんなサムソンの根気に、両親は、ついに折れ、2人は無事結婚することになりました。
こうして開かれた式には、イスラエル人も、ペリシテ人も大勢集まりました。
そこで、サムソンは、浮かれてこんなことを言いました。
「私は、みなさんに挑戦状として、ナゾナゾを出します。もし正解すれば、私がみなさんに晴れ着を送りましょう。ただ、みなさんが、正解できなかったら、一着ずつ、私に晴着を送ってください。回答期限は、祝宴が終わるまでの七日間。どうです?」
“浮かれ気分のサムソンの世迷言“、“どうせ大した問題じゃない“ と感じた、一同は、快くその挑戦を受けました。
「では、いきます。 “食べるものから食べ物が出た。強いものから甘いものがでた。” さぁ、これは何を意味しているでしょうか?」
一同はポカン、とします。全く意味がわかりません。
一方、サムソンは、したり顔で、内心ほくそ笑んでいました。
反則
回答期限の最終日、ペリシテ人たちは、だんだんと苛立ちが募ってきました。
祝宴の席に来てやったにも関わらず、イスラエル人に恥をかかせられたからです。
そして彼らはついに、サムソンの妻が住む家へと向かいました。
「おい、我々に恥をかかせるつもりか。いいか。おまえは今から、夫を説得して、ナゾナゾの意味を聞き出せ。さもなければ、おまえの家に火を放って、家族もろとも焼き殺してやる」
暴挙に出た彼らを恐れた妻は、サムソンに泣きつきました。
しかし、サムソンは、渋い顔をして、どうしても教えてくれまんでした。
ただ、それでも引き下がらない妻に、サムソンもついに根負けし、答えを教えてしまうのでした。
おわり
翌日、妻から答えを聞いた祝宴客たちは、我が物顔でサムソンに答えを告げてきました。
「ハチミツよりも甘いものは何か。獅子よりも強いものは何か」
その答えを聞いた、サムソンは、妻が彼らに答えを告げたことを悟りました。
それから、サムソンは激怒し、ペリシテ人の街に行き30人の男を殺してから、服を剥ぎ取り、祝宴客に渡したのでした。
その後、サムソンは妻の顔さえ見ずに、両親が住む家へと帰ってしまいました。
ボーナストリビア:「ハチミツよりも甘いものは何か。獅子よりも強いものは何か」
「ハチミツよりも甘いものは何か。獅子よりも強いものは何か」
ナゾナゾの問題文はもちろん、答えを聞いても、ちんぷんかんぷん、というのが、みなさんの心境だと思います。
実際、この謎謎のエピソードは、非常に理解しづらく、聖書にも特に解説されていないため、牧師や聖書学者も、明確な解釈ができて言いません。
ただ、それでもこのままだと、モヤモヤが晴れません。
ですので、ここでは一つの王道な解釈を紹介します。
話は、サムソンが、初めて力を開花したライオンの一件に戻ります。
この時、実は、ライオンの亡骸に大量の蜂が集まり、巣を作るという現象が起きていました。そして、ライオンの体内からハチミツが溢れ出したのです。
この現象から、サムソンは、このナゾナゾは「獅子(ライオン)」と「ハチミツ」を意味している、という回答にしていたのです。
つまり、本来なら、サムソン以外、誰も解くことができないナゾナゾだったわけです。
それを祝宴客たちが、「ハチミツよりも甘いものなんてあったけ? 獅子よりも強いものはあったけ?」と、「ハチミツ」と「獅子」と言う回答を、皮肉って言ったので、サムソンは激怒した、と言うわけです。
(参考)