「ラテラルシンキング」という言葉は、イギリス人のエドワード・デ・ボノ博士によって、提唱された考え方です。
「ロジカルシンキング(論理的思考)」の対義語で、日本語で「水平思考」と訳すことができます。
ラテラルシンキングとは
「ラテラルシンキング(水平思考)」は、「ロジカルシンキング」の逆、と考えることで、簡単に理解することができます。
「ロジカルシンキング」は、いうなら「積み上げ思考」です。
Aという事象に対し、そこを基盤にBという事象を考え、次にCという事象を考えます。
つまり、A→B→Cと論理立ていく思考です。
一方、「ラテラルシンキング」は違います。
あらゆる事象を水平的に考え、正解は一つじゃないと考えます。
「ロジカルシンキング」が上へ上へと積み重ねていく思考であったのに対し、「ラテラルシンキング」は順番や
つまり、より簡単に二つの言葉を表現するなら、「ロジカルシンキング」は「過程」を重視し、「ラテラルシンキング」は「結果」を重視する、ということです。
縛られない自由なシンキング
ラテラルシンキングは、前提に縛られません。
例えば、前回の記事で紹介した「13個のミカンを3人に分ける」問題。
「ロジカルシンキング」であると、「13個のみかんを3等分する」という前提のもとに思考を展開します。
そのため、次に陥る思考は「余った一個のみかんをどうするか?」というものになってしまいます。
それ以外のシチュエーションを考えられなくなるのです。
ですので、例えば、「ジュースにして分ける」や「13個のみかん全部の種にして、植える」といった発想が非常に生まれにくくなります。
おわり
以上のように、「ラテラルシンキング」の一番のメリットは、「前提」に縛られないことです。
前提や常識に縛られない。
そうすることで、新たなアイディアや可能性を見出せるのが、この考え方です。
ただ、だからと言って、「ロジカルシンキング」が不要かといえば、それも違います。
先ほど、両者の考え方を対立構造で説明しました。
しかし、だからと言って、どちらか一方だけで良いかというとそれも違います。
例えば、行動するときです。
何かアイディアを思いつき、それを行動に移すとき。
そこには必ず、「ロジカルシンキング」が必要です。
というのも、人は何かを行動するとき、その選択肢は一つに絞られるからです。
このように、「ロジカルシンキング」は、一つの選択肢を深めるとき、「ラテラルシンキング」以上の力を発揮します。
つまり、両者の考え方を巧い具合いにあわせて思考していくことが重要なのです。
ボーナストリビア:大阪万博の「あの問題」!
1970年に開催された大阪万博。
ここで、「ラテラルシンキング」は大活躍をします。
主催者は、当時「ある問題」に悩まされていました。
それは、早く会場に入ろうとする人たちが、開門前から入口に押し寄せ、大変危険な状態であったということです。
ディズニーランドよろしく、入場時間になると、来場者たちは一斉に走り出します。
ところが、人の数に比べて入口付近のスペースが極端に狭くなっているため、急いでいる人同士がぶつかって大変危険。
警備員が「走らないで!」と怒鳴っても効果なし状態で、いつ事故が起きてもおかしくありません。
さて、来場者の安全を確保するためには、どうすれば良いでしょうか。
●警備員を増員する
●ゲートを大きくする
これらが「ロジカル」な発想です。
では、「ラテラル」に考えるとどうなるでしょうか。
実際に使われたアイディアは、「地図を小さくする」というものでした。
密集地で、安全を守るには、つまるところ「走らなければ良い」のです。
新しい場所では、地図がなくては、目的地にたどり着くことができません。
そのため、地図を見るわけですが……
それが小さければ、必然、ゆっくりと歩くしかありません。
「地図を小さくする」
こうすることで、人件費も工事の手間も、増やすことなんく、低コストで、この問題を見事解決することができたのです。