イネ科植物は、あらかじめ、最大の成長点が低く設定されています。
地面スレスレで成長を止め、そこから、葉っぱだけ上へ上へと押し上げる。
そうすることで、たとえ食べられても、大丈夫な状態を作り出したのです。
しかし、これにも大きな問題があります。
低い成長の問題点
イネ科植物のこの成長法は、「茂らせられる葉に限界がある」ということです。
ふつう植物は、茎を伸ばし、茎の横から次々と枝を生やすことで、ほぼ無限に葉っぱを増やすことができます。
しかし、成長に限界があるイネ科の植物は、これができません。
上へ上へから、横へ横へ
そこで、イネ科植物は、成長点の低い茎を「横へ横へ」と伸ばす作戦をとりました。
このように、地面の際に枝を増やしていくことで、そこから派生する葉の数もどんどん増やしていったのです。
おわり
押し上げる植物、押し広げるイネ科植物。
「成長=上↑」という概念から、「←横→」へとベクトルを変えたのです。
これは、私たちの生活にも応用できる考え方かもしれません。
ボーナストリビア:イネの雑草は、浅く刈る!
さて、「雑草」という言葉を聞くと、皆さんは何を想像しますか。
多分、あの根本からごっそりと抜き取る、あの動きを思い浮かべると思います。
**髪の毛はできるだけ長く刈り、雑草はできるだけ短く刈る。**それが現代社会の常識だと思います。
しかし、イネ科の雑草は、あえて「高刈り」という方法がとられています。
というのも、イネ科の植物は、成長点が低く設定されているため、地際で切るとむしろ弾みがつき、またすぐにグングンと伸びてきてしまうのです。
ですので、あえて「高刈り」をすることで、年間の草刈り回数を減らすことができるのです。
また、雑草は増えることで、逆にカメムシなどを捕食する、クモやカエルが住みやすい環境づくりにもつながり、結果、農薬減のおいしいお米が作れるというわけです。
今度、草刈り業界の方と話す機会があったら、ぜひ、この話題で盛り上がってください!
(出典)