本日は、アース神族の見張り役「ヘイムダル」を紹介します。
光の神・ヘイムダル
ヘイムダルは、オーディンの息子です。
より具体的には、オーディンと9人の「波の乙女」の間から生まれました。(九人の女性から一人の神様がどうやって生まれたかは、皆さんの想像に任せます!)
容姿は、とても美しいものでした。純白の肌に、金の歯を持っており、別名「白いアース」と呼ばれていたほどです。
そんなヘイムダルの主なお仕事は、見張り番。
世界樹ユグドラシルの上層と中層を繋ぐ橋を見張っていたのです。この橋は、虹の橋「ビフロスト」と呼ばれており、ヘイムダルは巨人たちから、この橋を守っていました。
そしてもしも巨人が襲来しにきた時は、「ギャラルホルン」という角笛を吹き鳴らします。
さらに注目すべきは、彼のハイスペックな体です。
ヘイムダルは、超ショートスリーパー。ほとんど寝ません。そして、夜でも昼でも160キロ先まで見通すことができます。それから、聴覚も化け物です。草が成長する音や、羊の毛が伸びる音まで聞き取れたと言われています。
(※ヘイムダルは、この超人的な能力を手にするために、ミーミルに片耳を捧げました)
3つの階級
ある時のことです。
ヘイムダルは、「リーグ(※)」と名乗り、人間界へと舞い降ります。
(※アイルランド語で「王」を意味する)
最初、リーグは、「アーイ」と「エッダ」の貧しい老夫婦が住む家に三夜泊まらせてもらいます。
それから、リーグは「スレール(奴隷)」と「スイール(下女)」を作るように、助言をします。
やがて、エッダはスレールという子を産み、スレールはスィールという 妻を迎え、大勢の子をもうけました。
「奴隷」の始まりです。
次に、リーグは、「アヴィ」と「アンマ」の凡庸な夫婦が住む家に、泊まります。そしてそこでも、リーグは、助言をします。
やがて、アンマは「カルル」を産み、カルルは「スネール」を娶(めと)ります。 カルルは「自由農民」、スネールは「嫁」を意味します。
「農民」の始まりです。
最後、リーグは「ファジル」と「モージル」という金持ちが住む家にやっかいになります。そして、リーグは三度(みたび)、助言をします。
やがて、モージルが「ヤルル」を産み、ヤルルは「エルナ」を妻とします。
ヤルルは「貴族」、エルナは「器用な女」の意味します。
「貴族」の始まりです。
おわり
こうして、ヘイムダルは人間界に3つの階級を作ったのでした。
このことから、ヘイムダルは「人類の祖先神」とされ、巫女の予言では、人類は「ヘイムダルの子ら」と呼ばれています。
ボーナストリビア:ヘイムダルの宿敵「ロキ」
ヘイムダルとロキは、犬猿の仲です。理由は不明ですが、とにかく両者は、宿敵の関係にあります。
例えば、フレイヤの首飾り(ブリーシング)が盗まれた時のことです。
犯人はロキであると知ったヘイムダルは、首飾りを取り返すために、ロキと戦います。
彼らは、なんと、互いにアザラシに変身して戦ったといいます。(斬新!)
そして何と言っても、最終戦争「ラグナロク」!
この戦いで、ヘイムダルは、ロキと決着を果たします。
ヘイムダルは、なんとか、ロキを倒します。しかし、自分も死ぬことになります。相打ちです。
最後の最後まで、ライバル同士であったヘイムダルとロキ。美形で万能なヘイムダルと、悪戯好きのロキ。これはまるで、かの有名な『NARUTO』に登場する、サスケとナルトの関係に、近いものを感じます。
(参考)