【北欧神話】豊穣の神「フレイ」 —— キャラが薄いけど、昔は、主役を張っていました!

知識
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本日は、ヴィン神族の「フレイ」を紹介します。

豊穣の神「フレイ」

フレイの本名は「ユングヴィ」。彼は、「勝利の剣」という武器と、相棒の猪を引き連れており、神々の中でも最も美しい神とされていました。

「フレイ」の意味は、「主」「支配者」で、ユングヴィの呼び名だったとされています。

フレイは元々、ヴァン神族の出身でした。しかし、アース神族とヴァン神族の争いを止めるための人質として、父と、双子の妹と一緒にアスガルドに移り住むことになりました。

フレイは脇役じゃない!

北欧神話と言われ、フレイを頭に思い浮かべる人は少ないと思います。オーディンやトールといった主要キャラにばかり目がいってしまうからです。

しかし、昔は違いました。

古代のスウェーデン、ウプサラでは、フレイは脇役ではなく、トールやオーディオと並ぶ、神として考えられていました。

現に、そこにはトール・オーディンと並んで、フレイの銅像が建てられていたと記録されています。

具体的には、中央に、一番巨大なトールの神像があり、左右にオーディンとフレイの神像が置かれているという配置でした。

(※昔は、オーディンではなく、トールが主神として扱われていた)

また、そのフレイの神像は、巨根を立させた状態であったとされています。 このことからもわかるように、フレイは「豊穣・生殖」を司る神として崇め奉られていたのです。

フレイとフレイヤ

ただ、豊穣の神といえば、双子の妹「フレイヤ」も、同じ神様として扱われています。

これは、二つの説が考えられます。

一つは、もともと同体であったものが、男女の神に分裂したとする説。もう一つは、女神フレイヤから、男神フレイが分離したとする説です。

そんなフレイですが、主な仕事は、結婚や出産といった祝い事の際に、礼拝されるというものです。そのため、神話で登場するエピソードも乏しく、現代の人々の記憶や、ゲームや小説などにあまり登場しません。

私たちが知らないのも無理のないことです。

しかし、スウェーデンの最初の王家は、フレイから始まったとも考えられていたりもします。

神と人間で、人間の立ち位置に最も近かった神様は、フレイであったといえます。

おわり

また、フレイの持っていた「勝利の剣」は、美人な妻・ゲルズ(巨人)と一緒になるために、それを失ってしまいます。

これにより、フレイは、ラグナロクにおいて、「勝利の剣(レヴァテイン)」を手にしたスルトに敗北することとなります。

特に争わず、歴史に残るような大きなこともしない。その上で、結婚し、美人な妻と幸せな日々を送る。

とても、人間らしい神様です。

ボーナストリビア:もともと主人公であった「トール」

現代では、オーディンの息子とされている「トール」ですが、もともとは、オーディンとは別系統の神様で、起源もオーディンより古いとされています。

神話では、雷神が農耕の神として崇拝されています。トールもそのような神の一柱です。

そしてこういった神様はえてして、社会の成熟に比例して、争いを繰り広げていき、雷を武器として戦う神という性格が付与されるのです。

ギリシャ神話の「ゼウス」や、インド神話に登場する「インドラ」がその例です。そして、こういった神の多くは、主神となります。

もちろん、トールも当時、主神として扱われていました。

しかし、その後に、より戦さに特化したオーディンが現れたり、キリスト教の伝来で、神話が文献として記録されるようになったりなどして、主神の座がオーディンへと移ってしまったのです。

(参考)

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