木と草はどっちが先?
「鶏が先か、卵が先か」で有名な因果性のジレンマ。
似たような命題で、「木が先か、草が先か」。これについて、皆さんはどのように考えますか?
植物の起源
酸素によって生きる人間とは対照に、二酸化炭素によって成長する植物。
そんな植物の起源は、約35億年前の、「藻類(そうるい)」つまり、海藻でした。
そして、やがて「海藻」は地上へと生息地を拡大していきます。
海藻は、地上で生きるために、根・茎・葉をもつ「シダ植物」となり、種子をもつ「種子植物」、そして「木」へと進化していきました。
「草」の起源は、そのもっとあとでした。
恐竜と植物
むかし(恐竜がいた頃)の地球は、「毎日が暑い!」という状態でした。具体的には、二酸化炭素濃度が高かい状態だったのです。
そして、二酸化炭素が多いということは、光合成がしやすいということでもあります。つまり、植物にとって最高の環境だったのです。
光合成でエネルギーを作り、どんどん成長していく植物。それに付随して、草食性の恐竜も首が長いものが増えていきました。
食べられたくない植物と、食べたい恐竜。このようにして、両者は上へ上へと大きくなっていったのです。
盛者必衰のことわり
しかし、そんな成長もある時、ストップします。恐竜が滅亡し、白亜紀へと、時代が移り変わったのです。
それまで、一つの巨大な大陸であったものが次々と分裂していきます。
すると、地形もどんどん変わっていくワケです。
引き裂かれたところは、浅い内海や湿地帯となり、大地と大地とがぶつかったところは、隆起して山となっていきました。
そして、山や海が増えたことで、気候も不安定な状態になりました。不安定な環境では、植物は巨木になる余裕がなくなります。
植物は、短い期間に成長し、花を咲かせ、種を残し、子孫を繁栄させる必要に迫られたのです。
そうして生まれたのが「草」です。
おわり
「草は木の進化形」というのは、意外な真実なのではないでしょうか。しかし、これはまた、一つの法則ともいえます。
「木」みたいにただ上へ上へと成長を続けていては、植物はとっくに滅んでいました。
「草」という「ある程度で成長が止まる植物」があったからこそ、植物はこれまで生き延びてきたのです。
これは、他のことにも当てはまる法則ではないでしょうか。
「政治」は、保守派と革新派がいるから、大きな危機に直面しても、どうにか「国」という船が沈没せずに済んできた。
「会社」は、開発部門と会計部門があるから、ピンチでも潰れず、時には大きな成長を遂げる。
「家庭」は、子供と両親がいるから、完璧なものとなりうる。
「ずっと成長し続ける」モノと、「ある程度で成長が止まる」モノ。
地球は、この二つの存在のおかげで、うまく回り続けているのかもしれません。
ボーナストリビア:「双子葉」植物と「単子葉」植物、どっちが先?
より詳しく、「木」から劇的な進化を遂げた「草」についてです。
草は大きく、「単子葉植物」と「双子葉植物」に分けることができます。
両者の違いは、いくつかあります。
例えば、
・「単子葉植物」は、とにもかスピードが早い
・「双子葉植物」の子葉が二枚であるのに対して、単子葉植物は一枚
・「双子葉植物」は茎の断面に形成層という導管と師管から成るリング状のものがあるのに対し、「単子葉植物」では形成層がない
などです。
さてでは、問題です。単子葉植物と双子葉植物、どちらが進化形でしょうか。
正解は、「双子葉植物」です。
一見、構造が単純で、スピーディーな単子葉植物の方が先だと思われるかもしれません。しかし、そうではないのです。
「双子葉植物」のようなしっかりとした構造は、茎を太くし、体を大きくする必要があり、それだけ成長に時間が掛かります。
そこで、「単子葉植物」の登場です。
「単子葉植物」は、もともと二枚だった子葉をくっつけて、一枚にしました。
また、根っこも、「ひげ根」にし、葉脈も平行にしたりしました。
こうすることで、スピーディーに成長する仕様へと進化したのが「単子葉植物」なのです。
しっかりとした根をはり、ゆっくりと、だが大きく成長する「双子葉植物」。
大きく成長しないが、スピードを重視した「単子葉植物」。
これらはまるで、しっかりと勉強し、直実にステップアップする「サラリーマン」と、副業やら起業やらで、スピードを重視した「自営業者」。といった現代の「働き方」のパラダイムシフトにそっくりではないでしょうか!
(出典)