12人の偵察隊
カナンの地を目前にしたモーセは、12の偵察部隊を送りこみました。
その後、偵察部隊は40日間みっちり時間を使い、情報と果物を持ち帰りました。
偵察隊によると、カナンは、「乳と蜜が流れる土地」と比喩するほど、肥沃な土地だと言います。その証拠に、偵察隊が持ち帰ってきたブドウは、今まで見たこともないほど、大きいものでした。
ただ、偵察隊が持ち帰ってきたのは、よい情報ばかりではありませんでした。
まずは、カナンに住んでいる民族です。彼らは、背が高く、とても強よそうでした。そして、土地全体は、高い城壁によって囲われていました。
もし争いになったら、勝てる見込みはありませんでした。
勝機なし
民たちは、偵察隊の情報に、「せっかくここまできたのに……」と落胆の声をこぼしました。
しかし、そこに二人に偵察隊が違う意見を言いました。エフライム族のヨシュアと、ユダ族のカレブです。
「確かに、民たちは非常に強そうでした。しかし、私たちには、神様がついております。恐れることはありません」
「戦う前から逃げるなど、神に背くことと同義です」
この言葉に、民たちは一瞬たじろぎます。
ただ一方で、残りの10人は「勝機なし」と考えており、民たちもその意見に同意していました。
そして、民たちは、あらぬ方向へと、考え方をシフトしました。
「そもそも、私たちは、エジプトで奴隷のままでいる方が良かった」
「てか、なんでカナンへ連れきたの?」
「あーもう、モーセの言うことなんて、聞いてらんない」
「そうだ。新しい指導者を選んで、エジプトに帰ろう!」
「それだ。ついでに、ヨシュアとカレブも殺してしまおう!」
民たちの不満は、どんどん膨れ上がってきました。
神の限界
モーセは、またも塞ぎ込んでしまいます。
もう自分にどうすることもできない。
そう思っていました。
すると、目の前に、シャカイナ・グローリーが現れました。
そして神は言いました。
「もう限界です。私は、モーセあなたを除いた民、全員を疫病で殺します」
マジでキレてる神に、モーセは全力で赦しを乞いました。そして、「わかりました」と神は渋々折れ、「でも」と続けます。
「でも、やはり、私の言葉に従わなかった者たちは、みな、この荒野で死んでもらいます。カナンの地に入るのは、彼らの子どもたちです」
おわり
その後は、神に言った通りになりました。
モーセが神の言葉を告げると、反旗を翻そうとした一部の者たちは、血迷ったのか、カナンへと攻め込み、返り討ちに合い死んでしまいました。
そして、それから、40年間。
生き残った民たちは、荒野の中をさまよい続けました。
こうして、第一世代は死に絶え、イスラエル人たちは、新しい世代を迎えたのでした。
ボーナストリビア:多様性という弱点
先日『マジンガーZ』というアニメを見ていたら、こんな言葉がでてきました。
「人類最大の弱点、それは多様性」 「すなわち複数の正義」 「しかし、そんな複雑な価値観を制御できるほど、人類は知的な存在ではない。そして、多様性を処理できない人類は、また人類同士で戦うぞ」
”みんな違って、みんないい”というはあくまで理想論であり、”みんな同じが、一番いい”というのが現実論だと思います。
そして、それが不可能だから、私たち人類は、神や宗教、国家といった「同じもの」を国民たちに持たせように思えます。
皆さんは、どう考えますか?