レビ記
本日からは、『モーセ五書』の「レビ記」「民数記」「申命記」に入ります。
内容はシナイ山以降の旅路と、律法について書かれている章です。
また、これまでの「創世記」や「出エジプト記」とは異なり、物語が非常に少ない章でもあります。細かい捧げ物や日常生活の規定、律法などがメインの章です。
少し退屈かもしれませんが、楽しく書いていきますので、ぜひよろしくお願いします。
忙しい相談所
モーセに休みはありませんでした。
200万人もの人が、共同で生活する旅です。当然、悩みやトラブルが起こります。そして、その相談はすべてモーセが受けていたのです。
休む暇がありません。
しかし、ついにモーセも限界に達しました。体が持ちません。
そこで、モーセは「千人の長」「百人の長」といったふうに、指導者となる人を定め、仕事を分断させました。
ただ、これでも不従順な民たちを束ねることは一筋縄ではいきませんでした。
モーセのストレスはどんどん溜まっていきます。
そして、そこにもう一つ大きなトラブルが転がり込んできたのです。
長老会議
モーセは「千人の長」「百人の長」とは別に、70人ほどの長老を選んで、彼らにも仕事を分担させていました。
しかし、それが新たな問題を呼ぶことになったのです。
長老たちが会議をしていた時のことです。
モーセの兄アロンと、姉ミリアムが、ある議題を 持ち込みました。
「モーセの妻は、イスラエル人じゃない」
「民を指導者する立場にいる人間が、そんなことでいいのか」「生まれてくる子供は、純粋なイスラエルの子ではなくなってしまう!」などという、非難の声が上がったのです。
そして、その非難はあらぬ方向へと転がっていきます。
「それにモーセ。お前は一体何者なんだ? お前は、神と話せるというだけで、驕っているのではないか?」
モーセは呆然としました。
ただでさえ、忙しいのに、そこに、家族も含めた民からの非難。「私は一体どうすればいいんだ……」と、ただ、呆然とすることしか、できませんでした。
と、そこに、ある声がしました。
「アロンとミリアム、そしてモーセは、幕屋の前に来なさい」
神の声です。
おわり
三人が幕屋の前に集まると、濃い雲が幕屋を覆いました。そして神は言います。
「モーセはよくやってくれている。それなのに、あなたたちは、モーセを非難するのか?」
それだけ言って、雲は晴れていきました。
アロンとミリアムは、神の声を聞いたことで、初めてモーセの立場に立って考えるということができました。
それから、二人は、モーセに頭を下げ、「赦してくれ」と言ったのです。
ボーナストリビア:モーセは誰よりも謙遜だった
「レビ記」の次の章「民数記」では、”モーセは誰よりも謙遜だった”と書かれています。
実は、アロンとミリアム、モーセが幕屋の前で神の声を聞いたとき、ミリアムが「ツァラアト」という病にかかっていることが判明しまた。
兄はモーセに泣きつきました。
「俺たちが間違っていた。だから頼む。どうかミリアムを救ってくれ」
モーセは、二人から言いがかり受けたにもかかわらず、反論することがなく、ただミリアムのために祈りました。
そして、「七日間、外に出ていなさい」という神の言葉を聞き、ミリアムは無事完治したのでした。
誰よりも謙遜だった男。
それがモーセです。
(参考)