【心理学】「快楽のふみ車」——ポジティブなことほど長続きしない!

心理学
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前回の記事では、「人間はネガティブな情報に影響されやすい」という内容を紹介しました。

今回は、そのさらに悪い特徴である「ポジティブな情報ほど長続きしない」という心理を紹介します。

快楽の踏み車

社会心理学者であるデビッド・マイヤーズさんは、人間の幸福感について以下のように述べています。

「情熱的な愛、精神的な昂り、新しい所有の喜び、成功の爽快感。すべての望ましい経験は、いずれもそのとき限りのものである。この点はいくら強調しても足りない」

このような現象を、心理学では「快楽の踏み車」と言います。

決して全身することのない、ホイールの中を走るハムスターように、人間の喜びも同じ位置にとどまり続けているのです。

「宝くじの当選」や「引越しの喜び」

「快楽の踏み車」の存在はたくさんの研究によって実証されてきました。

有名なのは、 1978年の、宝くじ当選者を調べた研究です。

この研究では、当選者たちの心理を調べたところ、大半の被験者は当選の直後にしか幸福度が上がらないことがわかりました。

また、半年後にはほぼ全員が、元の精神状態に戻っていたのです。

また別の研究によれば、

●「新しいアパートに引っ越したうれしさ」は(平均) 3カ月

●給料が上がった喜びも半年

●好きな相手と恋仲になった幸せも 6カ月で薄らぎ、およそ 3年でベースラインに戻る

といったことがわかっています。

快楽中毒

大金を手にしても、住む場所を変えても、給料がアップしても、愛する人と結ばれても、その喜びは段々と薄まっていきます。 ある人が、「Aになれば幸せだと思う」と考えます。

しかし、いざ「A」になると、今度は、「B」になれば幸せだと思うようになるのです。

おわり

残念なことに、人間は「お金=幸福」とはなりません。

日本の「GDP」(国内総生産)は50年で7倍になりました。

しかし、生活満足度は全く変わってないというのが現状です。

どんなに幸福になろうと、人間はその状況に慣れて仕舞えば、また次なる幸福を求め、不幸への道を歩み始めるのです。

「幸福」を求めるという行為は、永遠に回り続けるホイールを走り続け、果てしないイタチゴッコを続け、エンドレスなモグラ叩きをしているようなものなのです。

私たちは「快楽中毒」である!

私たちはこのことを、もっと意識すべきなのかもしれません。

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ボーナストリビア:ピカソの超長いフルネーム!

「キラキラネーム」や「DQNネーム」、「ドキュンネーム」なるものがある通り、私たちが「名前」に対するこだわりは強いものがあります。

こんな名前へのこだわりは、「子供の幸せを祈って」という意義が非常に強いものがあると思います。

そして、こんな名前へのこだわり、1881年 10月 25日、スペインのマラガに生まれた世界的な画家、ピカソも同様です。

彼は、1973年に亡くなるまで、なんと約14万 8000点もの作品を制作し、その凄さはギネスブックにも登録されているほどです。

さて、そんなピカソですが、彼の姓名をご存じでしょうか?

パブロ・ピカソ?

いいえ、違います。

本名はもっと長いのです。

それは、『ハリーポッター』シリーズのダンブルドア校長が、本来のフルネームではなく、「アルバス・ダンブルドア」と呼ばれているように、名前のはじめと終わり、でしかないのです。

(本名:アルバス・パーシバル・ウルフリック・ブライアン・ダンブルドア

ピカソが生まれたスペインのアンダルシア地方では、クリスチャンの街で、名前が長いほど幸福が宿るとされていました。

(※クリスチャンは、洗礼を受ける際に付けられる名前があり、そのほとんどは聖人などの名前を自らの名前に足して付けられます。 )

そのため、ピカソのフルネームは恐ろしく長くなってしまったのです。

それではピカソのフルネームをご覧ください!

パブロ・ディエゴ・ホセ・フランシスコ・デ・パウラ・ファン・ネポムセーノ・マリア・デ・ロス・レメディオス・クリスピン・クリスピアノ・デ・ラ・サンティシマ・トリニダード・ルイス・イ・ピカソ

さて、この名前は、ピカソの幸福に、どれほど長く影響を及ぼしたのでしょうか!