洪水の裁き
悪の道へまっしぐらの人類をみかねた神様は、一度、人類を裁くことにしました。その刑は「大洪水」。
ただ、神は人を愛していますので、一人残らず根絶やしにすることはしません。
そこで、神様は、堕落した人間の中で唯一、神を信仰している人物を見つけました。ノアです。
悪を嫌い、神を敬ってきたノアに、神は一縷の望みをかけます。
なんと、神様は、ノアに今後起きることのネタバレをしてしまうのです。そしてさらに、その対策としての、方舟の設計図まで教えちゃいます。
最期まで愚かな人類
神の啓示をうけたノアは、すぐに、方舟製作に取り掛かります。
たたその船は、長さ135m、高さ13.5mと、大きな船で、それを科学のない時代に、人間の手だけで作るので、完成までには何十年もの月日がかかります。
ノアの一家は、周りの人たちから馬鹿にされながら、必死になって船を作り続けました。当然、神の啓示について、他の人にも伝えますが、誰一人、そのことを信じず、船に乗りたいと言ってきた人もいませんでした。
ちゃっかり者の動物たち
いざ、方舟が完成すると、さまざまな動物たちが集まってきます。
種類ごとに、オスとメスの一組が次々に乗船してきたのでした。その謎の光景に、ノアと妻、3人の息子とその妻たちは、呆然とその光景を眺めていました。
そして全員が乗車すると、ついに、大洪水が始まりました。大雨と、水脈から溢れる水。地上はみるみる、水に飲み込まれていきます。
聖書によれば、水は高い山々の約 6.6〜6.7 m も高い位置に達したと書かれています。
洪水のあと
方舟はその後、一年以上もの間、水の上を漂い続けました。ただ、雨によって太陽は遮られていたので、船の中は、薄暗く、気温が下がっていました。これにより、動物たちは冬眠し、ノアたちは、そのお世話で忙しい日々を送っていました。
一方、神は世界の創造を始めます。神はまず、大量の水を上と下に分けました。そして、下の水が、海や湖、川となり、上の水が、雲となりました。また雲によって、気候は温室になり、人が暮らしやすい気温となりました。
それから、しばらくすると、水が引き始め、ノアたちが乗った舟は、アララト山脈の頂上に漂着したのでした。
この山は、トルコの東端にある山で、現在の高さは標高5,137mです。そこで、ノアたちは、生活の拠点を広げていきます。
まず、地上の様子を確かめるために、鳩を放ちます。しかし、鳩は秒で帰ってきます。7日後、ノアは再び鳩を放ちます。すると今度は、鳩はオリーブの枝を咥えて戻ってきたのです。
このことで、地上に緑が戻ったことを、ノアたちは知りました。
また、このエピソードがのちに、鳩が「平和の象徴」として扱われるようになった所以です。
(※バチカンでは年に一度「ローマ教皇が窓から鳩を放つ」、というイベントが行われている)
おわり
以上が、かの有名な「ノアの方舟」物語です。
また補足になりますが、「ノアの方舟」の「はこぶね」は、「方舟」と「箱舟」と表記する場合があります。
ノアの箱舟は「方舟」と表記されることがあります。しかし聖書では「箱舟」が使われていますので、こちらの表記で統一して解説しています。
より一般的なのは、「方舟」の方です。しかし、聖書に記されているのは、「箱舟」の方です。
ただ、どちらも間違いではないので、好きな方を選びましょう。
私は断然、「方舟」の方が好きです!
ボーナストリビア:人は何のために生きるのか?
人は何のために生まれ、何のために生きているのでしょうか。
多くのビジネス書では、「理由なんてない!」「意味は自分で作り出すもの!」などと書かれています。
ただ、聖書にはまた違うことが書かれています。
他の動物とは違い、人間は神に似せて造られました。ふつう、縁も思い入れもないような存在に、自分を似せようなどとは考えません。
これはつまり、人間は、神に祝福され、神の子どもとして造られた、ということです。
そして、信者にとって重要なのが、この「あなたは素晴らしい! 大切な存在だ!」という祝福です。
人は、神に愛され、大切にされる子供だ、という考えが根本にあるのです。
ただ、もうひとつ、揺るがないことがあります。
それは「人は生まれながらに罪人である」ということです。清い存在である神とは対称に、人は生まれながらに汚い存在なのです。
なら、神様は人を見捨てるのか、というと違います。人は神に似せて作られたものなのですから、神もそう簡単には見捨てません。
さて、話を戻し、人は何のために生きるのかの解答です。
それはズバリ、「神に見捨てられないため」です。
神を信じず、人の本性をさらけ出せば、当然、神も離れていきます。そして、人間にとって、「神に見放される」ことが何よりも恐ろしいことです。
ですので、人は神を信じ、善行を行う。そうして、「神に愛され続けるために生きる」。
それが人の生きる意味なのです。
(参考)