杖を川に
「枝を投げる作戦」が失敗したモーセたちの目の前に、神が再び現れます。
「アロンに言うのです。『杖を川の上に差し伸べなさい』と」
モーセは何が何だかわからないながらも、アロンにそのことを伝えます。とりあえず、アランは言われた通りに、杖を皮の中に入れてみました。
すると、エジプト中の川・池・井戸、水という水が血に変わりました。また、自然の水だけでなく、家の中に貯めていた水までもが、血に変わってしまったのです。
こうして、エジプト人は、水を求めて地面を掘り続けました。
一方、不思議な事に、イスラエル人が住む地域の水は変わらないままでした。
カエル攻め
この出来事を受けても、ファラオはモーセの言葉を聞こうとしませんでした。
そこで神は再びモーセに言います。
「もう一度、杖を川の上に差し伸べなさい」
言われた通りにすると、今度は、カエルが川から這い上がってきました。
食卓にも寝床にもカエルが這い回り、エジプト中にカエルが溢れたのです。
この状況に、さすがにファラオも、降参するしかありませんでした。
「おまえ達の神に頼んで、カエルを去らせてくれ」
モーセは神に祈ります。
すると、カエルは全て死に絶えました。
アブ・アタック
事態が治まったことに安堵するファラオ。
その後、エジプト人は、カエルの死骸を集め積み上げていきました。
がしかし、腐っていく死骸の匂いはひどく、エジプト中どこにいっても悪臭が漂うようになってしまいました。
エジプトの民から、不安がドシドシと集まりつつも、しかしファラオはまだイスラエルの民を去らせようとはしませんでした。
奴隷云々というよりも、モーセとその神に負けるのが嫌だ、という意地だったのでしょう。
神は再度、モーセに命じました。
「杖で土の塵を打ちなさい」
アロンは言われた通りにしました。
すると、土の塵は「ぶよ」というハエになりました。
ハエは、エジプト全土の人と家畜を襲いました。
さらに、神はあぶの大群を発生させました。
ハエとアブに刺されたエジプト人は、もはや働く意欲を失い、国中の活動も止まってしまいました。
一方、不思議なことに、ここでもイスラエル人たちの住む土地には、全く被害がありませんでした。ぶよもあぶも近づかなかったのです。
そしてついに、体中をぶよとあぶに刺され、うんざりしたファラオは「もういい。さっさとエジプトから出ていけ。こんな災いはもううんざりだ」とモーセに言いました。
ついにモーセが勝利したのです。
そして、モーセが神に祈ると、ぶよとあぶははるか彼方に飛び去っていき、一匹も残りませんでした。
ファラオの朝令暮改
しかし、ファラオはアブの被害がなくなると前言を撤回します。イスラエルの民を去らせようとしませんでした。
それどころか、神はさらにエジプトに災いを下しました。
まず、エジプト中の家畜を、ひどい疫病に犯しました。
家畜はバタバタと倒れていきます。こうして、エジプト人は乳を得ることも、肉を得ることもできなくなりました。
十分な食糧を失ったイスラエルの民は、次々倒れていきます。
しかし一方で、イスラエル人の飼う家畜は無事でした。
モーセの逆襲
ファラオのこのような行動に、モーセとアロンは、怒りを覚えました。
2人はなんと、かまどに溜まったすすを手に取り、ファラオの前でまき散らしたのです。
「ふん、その程度か。もういい、さっさと下がれ」
ファラオは、自分の勝利を確信していました。
しかし、しばらくして、ある疫病が、エジプト人と家畜を襲いました。
また、天から大きな稲妻が降ってきて、多くの家畜を殺し、農作物にも大きな被害を与えました。
そして、最後は、いなごの群れが農作物を食い散らかしていきました。
その後、三日間、暗闇がエジプト全土を覆いました。
エジプト人はその間、何もすることが出来ず、ただ闇を恐れるだけでした。
しかし、不思議なことに、どの災いもイスラエル人が住む地域には及びませんでした。
おわり
いよいよ、ほんとに国が滅びてしまうと感じたファラオは、モーセを呼び寄せ「災いを止めてほしい」と懇願します。
モーセが再び、神に願うと災いは去りました。
平安を取り戻したファラオは、もうイスラエルの民には、手を出すことはなく、イスラエル人は皆無事に、国を去ることができました。
ボーナストリビア:イナゴを食べられますか?
2050年までに世界の人口は約 90億人に達する、と言われています。
そうなると、目下の問題は、やはり「食糧不足」です。
そこで国際連合食糧農業機関( FAO)が推奨しているのが「昆虫食」です。
「うぇー」と思われるかもしれませんが、栄養価の面で見ると、理にかなっているといえます。
例えば、白米が 100グラムあたり約 170キロカロリーあるのに対し、昆虫は 400 ~ 500キロカロリーがあるとされています。
さらに、バッタと豚肉の動物性たんぱく質を比較した場合、バッタのほうが多く含まれていたり、昆虫の種類によってはビタミンなども豊富、脂肪に含まれるコレステロール量も、豚肉や牛肉よりも少ない。
このようが状況から、すでに現在、世界では少なくとも 20億人が約 1900種類の昆虫を食用にしています。
日本でも、地方によってはハチノコやイナゴが食べられていますよね。
とりあえず、皆さんもイナゴからチャレンジしてみては、いかがでしょうか!
(参考)