ヨルダン川の増水
翌日、ヨシュアの号令で、イスラエル軍は出発しました。
先頭を歩くのは祭司達。
ヨシュアは、「もし何が起きても、真っ先に神が私たちを守ってくれる」と言いました。
そして案の定、ヨルダン川を渡る時、神は民を助けました。
この時期、ヨルダン川はちょうど増水をしており、とても渡れる状態ではありませんでした。
しかし、先頭を歩く祭司の足が水に触れた途端、水は川上で壁のようになって止まり、川底が現われたのです。
民は「うぉー」と驚きながら、川を渡りました。
この世代、神が海を割ったという話は、親から聞いていました。そして、その神の力を目の当たりにした彼らは、ますます神への信仰を深めていきました。
謎の将軍
エリコの城壁についたイスラエル軍。
当然、城壁は固く閉ざされていました。見るからに、攻めるのは容易ではありません。
そして、ヨシュアがどうするかと、悩んでいると、ある人物がこちらに向かって歩いてきました。
鎧をつけ、剣をもっている。
ヨシュアは不審に思いながらその者を見ていると、その人は言いました。
「わたしは、神の軍の将軍だ」
ヨシュアはその言葉に思わず、ひれ伏します。
すると、将軍はエリコ攻略の作戦をタラタラと述べました。
7周目の奇跡
翌日、ヨシュアは昨日聞いた作戦を戦士たちに伝えました。
「神はいわれました。私たちはすでに勝っていると」
そうコブしたあと、ヨシュアの口から出たのは、奇妙な作戦でした。
「これから6日間、隊列を組み、1日に1周ずつ、町を回るのだ」
軍は素直に従い、祭司たちを先頭に、奇妙な行進を始めました。
声を上げるとことさえせず、ただ黙々と城壁の周りを回り続けたのです。
そして、そんな行進が2日、3日と過ぎた頃、エリコの兵から、だんだんバカにした声が出るようになりました。
「最初は何かと思ったが、ただぐるぐる回ってるだけじゃないか」
「ふ、所詮は噂だったということか」
しかし、7日目。
イスラエル軍の様子は変わりました。
なんとその日は、一周ではなく、7周をしたのです。
そして、周り終えるとヨシュアは言いました。
「声をあげよ!町を、滅ぼすのだ!」
戦士たちが「うぉー」と叫ぶと、なんとエリコの城壁が、バラバラと崩れ出したのです。
右往左往するエリコ軍を無視し、イスラエル軍が真っ先に向かったの、赤い紐が結ばれいる家です。
「あった!あそこだ!」
ラハブが住むその家に2人の斥候を送り、そのあとは一気に町へと攻め入りました。
突然の出来事に何もできないエリコ兵は次々と敗れ、町はみるみる燃えていきました。
おわり
イスラエル軍は、またもや誰1人負傷者を出さずに、エリコを侵略してしまいました。
こうして、ヨシュアたちはカナンの地へと、また一つコマを進めたのでした。
ボーナストリビア:エリコの呪い
また、エリコの物語は、続きがあります。
エリコを侵略し終わると、ヨシュアは言いました。
「今後、この街を再現しようとする者は呪われる」
「土台を据えようとする者は長子を失い、門を建てようとする者は、末子を失う」
そして、この宣言から数百年後のこととです。
この言い伝えを破る人物が現れました。
名を「ヒエル」と言います。
ヒエルは、エリコを再建しようと、土台を据え、門を建てようとしたのです。
そして、案の定、長子も末子も失うことになりました。
(参考)