【旧約聖書 サムエル記①】サムエル誕生〜〜「夫である私が、10人の子供よりも価値があると思えば良いではないか」

知識
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エルカナ

イスラエルがカナンの地で住むようになってから、数百年が経ちました。

それまで、繰り返し周辺諸国の侵略に遭い、民はうんざりしていました。

当然、神を信じる人もなくなってきています。

しかし、そんな中でも信仰心を捨てないでいた人たちもいました。

その1人が、エルカナです。

エルカナは1年に1回、シロという町に出かけ、神を礼拝していました。

というのも、当時、幕屋があり、祭司が礼拝を続けていたのが、シロという町しかなかったからです。

ハンナとペニナ

エルカナには、2人の妻がいました。

「ハンナ」と「ペニナ」です。

エルカナは2人を共に愛していました。

しかし、次々に子供を産むペニナに対し、ハンナは子宝に恵まれませんでした。

そのため、ペニナは何かにつけ、ハンナに厳しく当たるようになり、その度に、ハンナは塞ぎ込んでしまいました。

夫のエルカナは、そんなハンナを慰めようとたくさんの言葉を投げかけました。 「何をふさぎこんでいるのだ。なに、夫であるこの私が、10人の息子より価値があると思えば良いではないか」

ただ、エルカナのこのような励ましの言葉は、ハンナにとっては重荷でした。

そして、それに追い討ちをかけるように、毎日聞こえる子どもたちの笑い声。

ハンナは、日に日にやつれていきました。

終わらない礼拝

そんなある日の出来事です。

エルカナが幕屋での礼拝を終えた後も、ハンナは1人、幕屋の前で祈り続けていました。

「神よ、どうか私に男の子を授けてください。どうか、どうか、お願いします。そうすれば、私はその子をあなたに捧げます。ですので、どうか……」

皆が去っても、熱心に祈り続けるハンナ。

そして、そんな彼女を、祭司エリは眺めていました。

ハンナに興味を持ったエリは、彼女の祈りが終わるのを見計らって、声をかけました。 「女よ、あなたは酒に酔っているのではないか? それとも寝てたのか?」

ハンナは、エリのそんな不躾の言葉に傷ついた様子を見せず、答えました。

「いいえ、祭司様。私はただ苦しいことがあり、それを神に祈っていただけです」

「そうか。それなら、安心して家に帰りなさい。神があなたの願いをかなえてくださるだろう」

おわり

その年、ハンナは妊娠をし、男の子を授かりました。

名を「サムエル」と言います。「サムエル」は、ヘブライ語で「その名は神」という意味です。

本日から始まるサムエル記の主人公「サムエル」誕生の物語でした!

ボーナストリビア:いろいろな「秩序」

英語のオーダー (order) には、「注文」「順序」「順番」「秩序」「命令」など、様々な意味があります。

特に、日本では、「注文」や「順番」の意味として使われるのが一般的です。

しかし、「order」の本来の意味は、「秩序」一つです。 また、ここでいう秩序とは、「あるべき状態が保たれている」ことを言います。

ですので、例えば、イギリスなどでは、議会で議論が紛すると「オーダーオーダー!」と叫びます。

これは、「静かにして、あるべき状態に戻れ!」という意味です。

(参考)

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