本日は『非才——あなたの子供を勝者にする成功の科学』という本を紹介します。
将棋の羽生善治さんがお勧めされていたので、読ませていただきました。
「才能」や「努力」といったことを考えさせられ、大変面白内容でした。
皆さんも、お時間がある時にぜひ一度、お手に取ってみてください。
「才能」は存在するのか
本書の内容を一文で要約すると以下のようになります。
「この世に遺伝的に決まる才能はない。全て努力(と運)」
ロジャー・フェデラーは
「DNAにテニスが刻まれている」と言われ
タイガー・ウッズは、
「ゴルフのために生まれてきた」と報道され
ディエゴ・マラドーナは
「サッカーの技能を脚に入れて生まれてきた」
と自分で言いました。
上記のようなことが、テレビや雑誌、新聞で広く報じられると、我々は、「大きな成功」=「天性の才能」と結びつけてしまいます。
しかし、本当にそうでしょうか。
果たして、「才能」こそが彼らの全てなのでしょうか。
否。
そうではありません。
本書では、こんなことが書かれていました。
「20歳になるまでに
最高のバイオリニストは
平均一万時間の練習を積んだ
これはいいバイオリニストたちより
二千時間も多く
音楽教師になりたいバイオリニストより
六千時間も多い」
つまり、こうです。
「違いを生み出す唯一の因子は
弛まぬ実行と精進の努力である」
運の要素もある
ただ、「『努力』が全てである」と結論づけることにも少し語弊があります。
というのも、努力には少なからず、運の要素も必要だからです。
例えば、先程のバイオリニストの話なら
そもそもバイオリンがなければ、話になりません。
また、どんなに素晴らしい頭脳を持っていても
縄文時代に生まれてしまったら
電気を発明する前に、マンモスを倒しに行かなくてはいけません。
人が何か「努力」をするというのは、環境や時代、周りの協力など、さまざまな物事が、必要不可欠なのです。
これを「才能」と呼ぶなら、確かにそうかもしれません。
機会さえ与えられれば……
カナダで行われてアイスホッケーの試合でこんなことがあったそうです。
当日、試合のパンフレットを眺めていると、多くの選手が「数字の早い月(一月・二月・三月)の生まれだった」というのです。
何かあるのかと調べてみると、理由は「年齢制限」にありました。
この大会に出場するため「年齢制限」が、一月一日で年度が切られていたそうです。
つまり
同じ年の1月1日に生まれた選手と、12月31日生まれて選手が同じ試合に出場するということになるのです。
そのため、上記のようなことが起こったわけです。
機会さえ与えられれば、大きな成果をあげられる可能性は急増するということです。
まとめ
人はなぜ努力しなくなるのか?
それは「才能」という神話を信じているせいです。
才能を信じている人は、
「自分は変われない」と思い込み、努力を怠り、己の天性の才能を疑われるようなことを避け、失敗を恐れ、結果を誤魔化すようになります。
人が努力しないのはそのような才能神話のせいです。
しかし、才能神話にもいい面があります。
「才能」=「寝てても成功する」でないことくらい、ほとんどの人は知っていますし、自分は才能があると思うからこそ頑張れる、という人もたくさんいます。
「素質は磨かないと光らない」
編集者が作家に言うように
「お前は才能があるんだからもっとがんばれ」というのは、練習させる方便ですが
それで成功する人がたくさんいるのも事実です。
つまり
「才能」と「成功」は本質的には関係なく、
「成功」は「努力」によって成されるものである
と言うのが、本記事の結論です。