前回の記事では、朝、「太陽の光」を浴びることが重要で、そのための手段として「朝散歩が最強!」という記述をしました。
しかし、「太陽の光」を浴び、セロトニンを分泌するだけが目的であれば、別に、散歩でなくても、カーテンを開け、日光を浴びながら、布団の中でのんびりしているのもいいのではないかと、いう意見もあると思います。
確かに、日向ぼっこだけでも、日光を浴びず、吸血鬼よろしくの生き方をしているよりは、体に良いことは間違いありません。
ですが、朝散歩には、ただ日光を浴びる以上の効果があるのです。
朝が「だるい」と感じる理由
1日の中でもっとも大きなパフォーマンをはっきするのが、「午前中」であることは、周知の事実です。
しかし、学生や社会人などの方々ですと、ゲームやお酒の影響などもあり、「午前中」が必ずしも自分にとってもゴールデンタイムでない方も、多いのではないでしょうか?
では、なぜ、我々は「午前中」に、調子がイマイチだと感じるのでしょうか。
それには3つの理由があると考えられています。
それは、「低血圧」「低セロトニン」「低血糖」の3つです。
まずは「低血圧」についてです。
「低血圧の人は朝に弱い」というのは、よく言われます。
事実として、血圧の低い人は、頭がぼーっとして、フラフラしたりすることが多いです。
ですので、朝に「だるい」と感じるのも当然のことだと思われます。
次に「低セロトニン」についてです。
「セロトニン」は、人間の覚醒(目覚め) に関係する脳内物質で、太陽の光を浴びると、分泌を開始します。
セロトニンが分泌されると「爽やか」「気持ちいい」という気分になり、逆に、セロトニンの分泌が低下すると、「気分が悪い」「不快」といった気分になります。
そして、朝、目が覚めた直後は、1日の中でも最もセロトニンが低下した状態ですので、「だるい」と感じる訳です。
最後は、「低血糖」です。
朝起きた時が、人がもっとも「低血糖」になっている状態です。
というのも、寝ている間に何も食べていないからです。
血糖値に対する体の反応は、個人差があり、朝食が抜きでも通常通りに活動できる人も入れば、朝食を食べないと、頭がボーッとしてしまう人もいます。
また、朝は調子が悪く、それで朝食を食べないという人は、逆にそれが原因で、体調を悪化させていることも考えられます。
朝散歩は最強!
朝散歩に話を戻します。
朝散歩は、上記の2つの要因である「低血圧」と「低セロトニン」に、猛烈に効きます。
多分、多くの方が、朝をだるいと感じている主な理由は、「低血圧」か「低セロトニン」のどちらかにあると思います。
自分が、どの原因に当てはまるのかを確かめるために、試しに、朝起きた時、自分の「血圧」を測ってみるのも良いと思います。
スマートウォッチなどがなくとも、スマホのアプリなどで、簡単に調べることができるので、ぜひ一度測っていてはいかがでしょうか。
そこでもし、自分が「低血圧」だとわかったのなら、心拍数を上げるためにも「散歩」や「筋トレ」などといった、軽い運動をしてみるのがオススメです。
また、より手軽なものとしては、「シャワーを浴びる」というのも有効です。
朝、シャワーを浴びることで、副交感神経(夜の神経)がオフに、交感神経(昼の神経)がオンになります。
このオン・オフの切り替えによって、心拍数と体温が上昇するのです。
その時に「熱め」のシャワーを浴びると良いです。
そして、最上級に効くのが「冷水シャワー」です。
「寒冷昇圧反応」を利用し、寒冷の刺激によって、交感神経(昼の神経)を活性化させ、血圧、心拍数をともに高めるのです。
このほかにも、冷水シャワーには、たった1分浴びるだけで、ミトコンドリアを活性化させ、エネルギー消費を増やし、脂肪減少を促す効果があるという、研究もあります。
ただ、これは夏場は気持ちいですが、今の時期ですと少し厳しいところがありますので、朝、顔を洗うときに、お湯ではなく、冷水を使ってみるのもいいかもしれません。
さて、それから「セロトニン」の分泌についてです。
これは前回の記事でも書いた通りです。
朝試しに散歩をしてみて、気分が改善された場合は、「低セロトニン」が原因だったと考えられます。
セロトニンは、覚醒・気分・意欲・感情などを司る脳内物質です。
脳疲労やうつ病の状態ですと、セロトニンが低下します。
また、セロトニンは「脳の指揮者」ともいわれており、セロトニンが整うと、ドーパミンやノルアドレナリンなどの他の脳内物質も整い、感情がコロントールされます。
「イライラしやすい」「キレやすい」「怒りやすい」という人は、「低セロトニン」の可能性が高いので、積極的に朝散歩を行うことをオススメします。
太陽の光を浴びるだけで、セロトニンが活性し体内時計がリセットされのです。
健康な人であれば、5分外にいるだけで、朝が「幸せ!」と感じるはずです。
実際、5分といわず晴天であれば、外に出た直後から眠気は吹き飛び、「最高!」という気持ちになります。
目安としては20分ほどの朝散歩が良いとされていますが、きっと、時間など気にせず、気の赴くままに歩いてるはずです。
(※1日20分の「早歩き」で平均寿命が、5年伸びると言われている!)
またこのほかにも、朝散歩にはさらに、「ビタミンD」の活性化にも一役を買っていたりもします。
と、以上で述べてきた通りの効果が「朝散歩」にはあるのですが、とりあえず、そのようなことなどは一旦忘れて、とりあえず試しにやってみてください。
きっと1日が幸せになる——はずです!
「低血糖」の人はどうすれば?
では最後に「低血糖」の場合についてです。
結論は、とりあえず、「朝食を食べましょう!」です。
「朝散歩」を試してみて、それでも朝に調子が悪いと感じる場合は、「低血糖」に問題がある可能性が高いです。
そのような方は、朝食を食べることで、パフォーマンスが上がるはずです。
1日の食事回数については個人差があるので、2食で大丈夫な人もいれば、3食でないと体調を崩す人もいます。
また近年、体内時計、時計遺伝子など「時間生物学」の研究では、体内時計のリセットに「朝食」は不可欠であると考えられています。
「脳の体内時計」は「太陽の光」でリセットされ、「各臓器の体内時計」は「朝食」でリセットされるのです。
とにもかくにも、「朝食」については、さまざまな意見が、さまざまな本で叫ばれています。
ので、とりあえず、両方試し、自分にあっているものを習慣にする、というのが、ベストなやり方だと思います。
おまけ:セロトニンは人生において重要!
セロトニンは感情だけでなく、食欲もコントロールしてくれます。
ですので、「食欲がありすぎる人」「ダイエットしたい人」にも、朝散歩がオススメです。
また、夕方になると、今度は、セロトニンによって、睡眠物質である「メラトニン」がつくられ、深い睡眠が可能となります。
眠気は、太陽の光を浴び、体内時計がリセットされてから15~16時間後に出るとされています。
「寝付きが悪い」「睡眠薬を飲んでいる」という人は、まず朝散歩をしてみるのはいかがでしょうか。
そして、さらに朝の運動は、夜の睡眠の質を向上させる効果もあります。
事実、運動するなら朝が一番よいという研究結果があるのです。
セロトニンが整うと、メンタルも身体も全てが整うので、このようなセロトニンの分泌を促す朝散歩は、「最強!」と言えるでしょう。
おまけ2:食事はよく噛んで食べましょう!
食事は、よく噛んで食べることで、さまざまな効果がえられます。
栄養の吸収を緩やかにし、血糖値の上昇も抑え、さらに、満腹感も出やすいのでダイエットにも有効です。
また、「咀嚼」という行為は、「リズム運動」、つまり「運動」に相当するそうで、セロトニンの活性化にも良いそうです。
そのほかにも、唾液には細菌やウィルスの侵入を防ぐ効果があるため、免疫力も高めてくれます。
コロナ禍で、時間に少しだけ、ゆとりができた今だからこそ、咀嚼にも、少しだけゆとりを設けてみてはいかがでしょうか。