【心理学】人は権威に服従し、誰もがアイヒマンになりうる!

心理学
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アイヒマンは、ナチス政権において、ユダヤ人を強制収容所に移送する指揮をとっていた人物です。

「アイヒマン実験」では、「特定の状況下におかれると、人は誰でもアイヒマンのような残虐な行いをする」ことがわかっています。

アイヒマン実験

まず、「学習における懲罰の効果」という名目で、被験者を集めます。

参加者はそれぞれ、教師役1名と生徒役1名(サクラ)のペアで、別々の部屋に通されます。

部屋にはマイクとスピーカーだけがあり、姿は見えない状態です。

次に、教師役(被験者)は、生徒役が間違えるたびに、電気ショックを与えるよう、研究者から命令されます。

電流は、軽微な15ボルトから、命の危険もある450ボルトまでが設定されており、生徒が間違える度に、電圧を上げるよう、言われます。

結果

電圧が300ボルトを超えたあたりから、「もうやめてくれ!」という懇願の声がし始めます。

しかし、研究者は、教師役の人に、あくまで、続行するように命令し、教師役が拒否するまで、それを続けました。

その結果、教師役の65%(40人中26人)が、命じられるまま最大450ボルトのスイッチを押し続けました。

教師役の人は、研究者からの命令を拒んだところで、何か罰があるわけではありません。

にもかかわらず、半数以上の人が命令に従い続けたのです。

おわり

このアイヒマン実験は、別名「(ミルグラムによる)服従実験」とも呼ばれています。

人は、「権威」に命令されると、どこまで服従するのか、を調べた実験だつたのです。

特に罰則もない場合は、人は、人を殺す。

しかも、それを指示した者が自分よりも偉い人物なら、なおさら。

もし会社に、「我が社が全責任を持つから、奴を蹴落とせ!」と言われたら、私たちのほとんどが、その行為をとるのです。

法律で「殺人がダメ!」と定められているのは、そうしないと、人は、簡単に人を殺してしまうからなのかもしれません。

罰則がないと、人はどんなことでもする。

「人を殺したら、あなたも死刑です」

国家という「権威」が、そう命令することで、私たちはそれに従う。

権威に服従し、罰を恐れる人類。

ヒトは、どんなに進化を遂げても、結局、野生の頃と、何も変わらないのかもしれません。

おまけ雑学:役割を与えると、人は残忍になる

「模擬刑務所実験」「スタンフォード監獄実験」と呼ばれる、実験があります。

スタンフォード大学の地下に、本物そっくりの刑務所を作り、心身ともに健康で、反社会的でない21名の男子学生を集めます。

彼らを、ランダムで、看守役と、囚人役に振り分け、2週間にわたって、それぞれの役を演じてもらいます。

また、リアリティを出すために、看守役には、サングラスと制服を着用してもらい、警笛と警棒も支給しました。一方、囚人役は、名前ではなく、ID番号で呼ばれ、足に鎖をはめられた状態で収監します。

数日たつと、その影響は、予想以上のものでした。

時間とともに、看守役は囚人役に対し、支配的な行動を取るようになります。命令口調になり、侮蔑的で、攻撃的な言葉を平気で吐くようになり、権威的な振る舞いが目立つようになったのです。

一方、囚人役は、開始2日目で極度な感情の落ち込みが見られ、さらに、不安・号泣といった症状と、5人が実験からの離脱を余儀なくなりました。

そしてやがて、看守役は、囚人に対する侮蔑行為を頻繁に行うようになり、自分達の残忍な行為を楽しむようになりました。

ついには、禁止されていた暴力行為も発生し、当初予定していた2週間の実験は、6日で中止となりました。

「他人を服従させることのできる役割」は、人をここまで残忍にさせてしまうのです。

よく「親が子供に暴力をふるう」などといったニュースが話題を呼び、近所からは、「そんなことをする人には見えなかった……」といったインタビューがなされます。

これは、「家での親」という役と、「近所さんたちから見た親」という役の、二つを演じていたことが考えられます。

一部の親にとって、家は刑務所同然で、日頃の鬱憤を晴らす場所でもあるのです。「子供は囚人役で、自分は看守役」と勝手に思い込み、時間の経過と共に暴力を振るうようになる。

別にこれは、刑務所や、家庭環境に限った話ではありません。

学校でも、サークルでも、会社でも、友人関係でも、恋人関係でも、どこでも起こりうることです。

「人は役を与えられると、残忍になる」

私たちは、このこと肝に銘じておかなくてならないのです。




ちなみに、この実験を題材にした映画もありますので、ご興味のある方は、ぜひ見てみてください!




(参考文献)

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