この競争社会において、私たちは「自己の利益」と「全体の利益」、どちらを追い求めるべきなのでしょうか?
共有地の悲劇
産業革命の頃、イギリスの農村には、「コモンズ」と呼ばれる、共有地がありました。
農民らは、そこに羊を放牧し育て、羊毛をとっていました。
もちろん、 農民からすれば、自分の羊が多ければ多いほど、羊毛の収穫量が増え、利益が増えます。
しかし、多くの人がそうしてしまうと、 牧草地の荒廃が進みます。
そして結局、1匹も飼えなくなってしまう、というジレンマが起こるのです。
このように、「個人」と「三者以上の集団全体」が対立する状態を、「社会的ジレンマ」と言います。
利他的利己主義
では、そのような「社会的ジレンマ」を解決するには、どうすれば良いのでしょうか。
たとえば、「ルール」を設けることです。
ルールを破ったら罰を与え、ルールを守ったら報酬を与える、というシステムを作ればいいのです。
また、「教育」によって、道徳観や価値観の転換を促すこともできます。
しかし、このどちらも、対策に対してコストがかかります。
ですので、そもそも論として、この「コスト」に対しても、自分以外の人は、払っているのか不安、という「ジレンマ」が生じるのです。
そのため、「社会的ジレンマ」に対する真の解決策は、「利他的利己主義」の考えを各人が持つことです。
社会全体の利益になるような行動こそが、自分のためになる、という意識を深め、各人がそれを確立していくことが大切なのです。
おわり
最終的に、人は、「協力した方が得!」なのです。
「旅の恥はかき捨て」という諺は、一度しか行かないところであれば、恥ずかしいことをしても平気、という意味です。
しかしこれは逆に、長く付き合う場合は、自分勝手の行動は慎むべき、ともとられることもできます。
私たちが普段過ごしている「社会」「コミュニティ」というのは、一定です。
家族がいて、恋人がいて、友達がいて、仲間がいる。
そんな一定の関係において最も、重要なのは、結局「協力すること」なのです。
持続的な関係において「究極の利己主義」はむしろ、逆効果です。
つまり、「旅は道連れ世は情け」ということなのです!
おまけ雑学:「互恵性」
相手との協力関係を築いていく上で、重要なのは、「ギブアンドテイク(互恵性)」の関係です。
相手が何かをすれば、自然と小こちらも何かしたくなる。
そのような関係が、付き合いをうまくさせ、長く継続させるための秘訣です。
また、「ギブアンドテイク」は必ずしも、モノやお金である必要ありません。
たとえば、「自分のことを話す」というのも、相手に対するギブなのです。
自分のことを話すことで、相手も自分のことを話すようになり、2人の距離は縮まっていくというわけです。
さらに、相手が困っていたら、助けるというのも、大切です。
「情けは人のためならず」という諺にあるように、他人の利益のために動く行為は、巡り巡って、自分のところに帰ってくるのです。
人は互いに支え合って生きている。
このことを忘れないようにしましょう!