芸は身をたすく
ファラオ殺人未遂事件から2年後。
ファラオ(王様)はある夢を見ました。ファラオは、その夢の内容があまりに強烈だったため、色んな人たちに、夢の解釈を頼みました。
しかし誰も、その夢を解き明かすことができませんでした。
そんな時、ファラオの側近の1人である、献酌官がヨセフの事を思い出しました。
献酌官が牢獄での一件をファラオに伝えると、ファラオは「すぐにその者を呼べ!」と言いました。
ヨセフは牢獄から出され、風呂と散髪をしてから、ファラオの前へと連れてこられました。
そうして、ファラオはヨセフに見た夢を語りました。
夢解釈編
「わたしはナイル川の岸辺に立っていた。
するとそこに、まるまると太った7頭の雌牛が現われたのだ。
そしてその後に、今度は、やせ細った醜い雌牛が7頭現れ、太った雌牛を食べてしまったのだ」
「ふむ、なるほど」
ヨセフの夢解釈が始まります。
「まず“7頭“とは“7年“のことですね。
次に、“太った雌牛“ですが、これは、“豊作“の事をさしてます。
つまり、最初の部分は、“これから7年、豊作が続くこと“を指しているのでしょう。
そして、後半の“7頭のやせ細った雌牛“は、“7年間の飢饉のこと“を指しています。
以上をまとめると、ファラオ様が見た夢は、“7年間の豊作のあと、7年間の飢饉が来ること“を意味しているのです」
「まじか! えっ!まじか! じゃ、我々はどうすれば……」 ヨセフの夢解釈に感嘆しながらも、その事実に慌てふためくファラオ。
そこで、ヨセフは言います。
「ファラオ様、私に考えがあります」
ファラオは「ほぉ」と、再び耳を傾ける。 「知恵のある指導者をお選びください。
そした、その者にエジプトを治めさせるのです。指導者がいれば、町をコントロールすることができます。
あとは、その指導者に、これから来る豊作の一部を蓄えさせ、飢饉に備えれば良いのです」
ヨセフの見事な案に、ファラオは感嘆し、言いました。
「ヨセフよ。おまえこそ、その指導者にふさわしい! 今日からおまえをエジプトの辛相に任命する。これからの14 年間、おまえがエジプトを治めるのだ」
おわり
兄たちから憎まれ、奴隷として売られてしまったヨセフ。そんな彼が、なんの偶然か、宰相へと成り上がりました。
次回はいよいよ、「兄弟との再会」です。
お楽しみに!
ボーナストリビア:
話はすごく変わりまして、凧揚げについてです。
先日、名探偵コナンを見ていたら、その回は「凧揚げ」と関わりのあるミステリーでした。
それで、興味を持ち、色々調べたので、本日はそのことについて書こうと思います。
皆さんは、“凧揚げの「たこ」はもともと「いか」だった“ ということをご存知でしょうか?
「凧」という字は、平安時代に中国から伝わったとされています。
しかし、このときは、鳥の「鳶」に似た形だったため「紙鳶」と呼ばれていました。
「凧揚げ」ではなく、「紙鳶揚げ」だったわけです。
その後、「紙鳶揚げ」が庶民の遊びとして広まると、今度は、「紙鳶」に脚をつけた姿が「いか」に似ているとなり、「いかのぼり」と呼ばれるようになりました。
しかし、江戸時代、「いかのぼり」が幕府により禁止されてしまいます。
理由は、「流行りすぎてしまったから」です。
今と違い、「いかのぼり」は、大の大人も熱中する遊びで、そのことで喧嘩をしたり、大名行列に落ちるなどで、けが人や死者まででるしまいに。
そこで、「いかのぼり」が法律で禁止された江戸っ子たちは今度、「たこのぼり」といって、これを続けました。
それが、次第に「たこあげ(凧揚げ)」と呼ばれ、現代へと伝わったわけです。
なんだか、凧揚げがしたくなりましたね!
(参考)