【旧約聖書 サムエル記③】サウルとサムエル〜〜「あなたは、イスラエルにとって、重要な人物です。どうかそれだけは忘れないでください」

知識
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民たちの不安

月日が流れ、サムエルが歳を取ると、民は次第に不安になりました。これから、誰がたみを導いてくれるのか。

そして、民たちがそんなことを考えていたある日のことです。

長老達は、サムエルの前に集まり、言いました。

「あなたも歳を取り、もう長くないかもしれません。そこで、他の国と同じように、王を立てて、国を治めていくのは、どうでしょうか?」

サムエルは、この民の申し出を断りました。

イスラエルの民は、神に選ばれた民。他の国と同じようであってはならないと思ったのです。

神への相談

サムエルが、このことを神に相談すると、神は言いました。

「今は、彼らを言う通りにしなさい。ただし、王を立てると、民もその責を負わなくてはならない。そのことを忘れぬように」

翌日、サムエルは民に、神のことをばを伝えました。

すると、民は答えました。

「それで構いません。私たちには、王が必要なのです。私たちも、他国と同じように、王によって治められる国にしてください」

サウルとロバ

一方、その頃、ベニヤミン族の「キシュ」という男が持つ、ロバが数頭、迷子になる、という事件が起こりました。

キシュは、息子“サウル“に言いました。

「召使、1人を連れて、ロバを探してきてくれないか?」

サウルは父の言う通り、ロバを探しに行きました。しかし、見つかりません。

「これはもう無理だ。もう帰ろう」

サムエルがそういうと、召使がある提案をしました。

「預言者サムエルにお会いしてみるのはいかがでしょう。きっと何か教えてくれるはずです」

サムエルは、「それは名案だ!」と思い、サムエルのところへ向かいました。

サムエルからの一言

また一方で、サムエルは前日、神からあるお告げを受けていました。

「明日、お前の元へ、1人の若者が会いに来る。彼がイスラエルの王となるだろう」

翌日、サムエルの元に、1人の若者とその召使がやってきました。

サムエルは、彼らを食事に招待しました。

「ロバの件はもう、心配ありません。もう見つかっているはずです。それよりも——」

サムエルは、本題に入ります。

「あなたは、イスラエルにとって、重要な人物です。どうかそれだけは忘れないでください」

おわり

サウルは帰り道、食事の時、サムエルの言っていたことをずっと考えていました。

「何で俺なんだ。民族の中でも、小さい一族である自分が、なぜ?」

サウルは、そのことがずっと気がかりで、結局、家についても、家族にはそのことを黙っていました。

ボーナストリビア:王様の耳はロバの耳

ロバといえば、イソップ童話に『王様の耳はロバの耳』というお話があります。

あらすじは以下の通りです。

ロバの耳をした王様は、そのことを皆に隠していました。しかし、髪を切る時には、さすがに隠し通すことができません。そのため、王様の秘密を床屋だけは知っていました。もちろん、王様の命令で、そのことを人に言うのは禁じられています。ただ、それでも、大きな秘密を知ってしまったサムエルは、誰かに話したくてしょうがありません。そこで、床屋は井戸の奥に向かって「王様の耳は、ロバの耳!」と叫びました。ただ、誰も聞いていないと思われたその叫びは、井戸から井戸を通じ、国中がその秘密を知ることとなってしまった、

というお話です。

インターネットなどで、誰でも匿名で、好きなことを叫ベルこの時代。

むしろ、堂々としている方が、情報は広がりにくいのかもしれません。